2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24790280
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
坂根 洋 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80457291)
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Keywords | Wnt / 上皮細胞 / 選別輸送 / クラスリン |
Research Abstract |
発癌に関連するWntおよびWntシグナル抑制因子Dkk1は分泌性蛋白質であり、極性化した上皮細胞において、頂端面あるいは側底面へ選別輸送されるため、その選別輸送の制御機構を解析した。MDCK細胞において、b-カテニン経路を制御するWnt3aは側底面に選別輸送されるが、Wntの分泌に関与する膜蛋白質Wntless、また、クラスリンあるいはクラスリンアダプター蛋白質の発現を抑制すると、Wnt3aの側底面への輸送が阻害されることを明らかとした。b-カテニン非依存性経路を制御するWnt11は、頂端面へ選別輸送されることを明らかとし、また、Wnt11の選別輸送には糖鎖を認識するガレクチン3が重要であることを明らかとした。Wnt11の複合型糖鎖を受けるN末端領域をWnt3aのN末端領域と入れ換えると、Wnt3aが頂端面へ輸送されることから、Wntの選別輸送が糖鎖によっても制御されていることも明らかとした。最終年度においては、腸管上皮由来細胞で過剰発現が確認されているDkk1の側底面への選別輸送機構の解析を行った。側底面への選別輸送にはt-SNAREであるsyntaxin4が関与しており、syntaxin4はa-taxilinと結合することが知られている。a-Taxilinの発現をsiRNAにより抑制してもDkk1の側底面への輸送には大きな影響を与えなかったが、一方で、a-taxilinの発現抑制が鉄の取り込みに重要なトランスフェリン受容体の存在量の減少を引き起こすことを見出し、a-taxilinがトランスフェリン受容体のリサイクリングに関与することも明らかとし、新たな知見を得ることができた。以上の結果から、上皮細胞におけるWnt蛋白質の選別輸送機構における新規の知見を得ることができ、また、細胞内小胞輸送に関連する因子の新たな知見を得ることができた。
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