2013 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチの滑膜病変で産生される自己抗体の解析:「酵素抗原法」を活用して
Project/Area Number |
24790368
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
水谷 泰嘉 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10546229)
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Keywords | 酵素抗原法 / 抗原特異的抗体産生細胞 / 関節リウマチ / コムギ胚芽無細胞蛋白合成系 / AlphaScreen |
Research Abstract |
本研究は、関節リウマチの滑膜組織における自己抗体産生細胞を酵素抗原法により可視化することを目的とする。関節リウマチ病変滑膜に浸潤する形質細胞が産生する抗体の標的抗原は明らかではなく、これら抗体を解析することで、病態解明に貢献できる可能性がある。 前年度までの検討により、滑膜組織切片上に標的となる自己抗体産生細胞が局在しない可能性が疑われた。そこで、対象抗原をラットに免疫し、そのリンパ節の組織切片を陽性コントロールとして、酵素抗原法による形質細胞の染色性を検証した。 滑膜組織内に自己抗体産生細胞の存在が疑われる抗原のうち、MAP1LC3BおよびFKBP4を免疫抗原とした。抗原をラットの前肢足底部に免疫して、腋窩リンパ節を採取した。リンパ節の組織切片を対象に、酵素抗原法により特異抗体産生細胞を検索した。同時に血清を採取して、ELISAにより各抗原に対する血清抗体の有無を確認した。 ELISAの結果、抗原を免疫したラットの血清に明らかな抗体上昇が認められた。一方、酵素抗原法においては、組織切片を蛋白分解酵素処理することで、各抗原に対する抗体産生細胞を検出できた。さらに未標識抗原と標識抗原による競合反応を利用した吸収試験において、シグナルの減弱がみられ、切片上の抗体の抗原特異性を認めた。 ラット組織における酵素抗原法で特殊な賦活操作が不要であったことから、MAP1LC3BおよびFKBP4による酵素抗原法で滑膜組織が陰性となる原因として、それら抗原に対する抗体産生細胞が滑膜組織に局在していない可能性が高まった。しかし、滑膜組織内で抗体産生が疑われる抗原として、他にHIST1H1CやKIAA0409などがあり、これらに対する抗体産生細胞については滑膜組織における存在を否定できていない。今後、酵素抗原法について新たな増感法を導入予定であり、これらの抗原に適用を試みる予定である。
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