2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790379
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
美谷島 杏子 福井大学, 医学部, 特命助教 (30552020)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Id2 / Apc / Wnt / 腸管腫瘍 |
Research Abstract |
腸管腫瘍形成のモデルマウスの代表例であるApc遺伝子変異マウス(ApcΔ716)は正常腸上皮細胞が増殖帯においてApc遺伝子座のヘテロ接合性を消失することによりApcが欠損し、その結果Wntシグナルが恒常的に活性化することによって腸管に多数の良性腫瘍を発症する。研究代表者はこれまでにApcΔ716マウスにおいてさらに転写調節因子Id2を欠損させると、回腸に形成される腫瘍の数が1/5に減少することを明らかにした。本研究はId2がWntシグナルとどのような機能関係にあり腫瘍形成に寄与するかを解明することを目的としている。腫瘍形成にはinitiationの段階とexpansionの段階があることが知られているが、Id2の欠損はApcΔ716マウスの回腸腫瘍形成のどちらの段階に寄与するのかを検討する目的で、腫瘍のサイズごとの割合を比較した。その結果Apc:Id2複合変異マウスはApcΔ716マウスと比較して0.5mm以下のmicroadenomaの割合が45%から58%に増加し、逆に0.5mm以上1mm以下の腫瘍の割合が46%から34%に減少したが、その変化は腫瘍数の80%の減少に比べると僅かであった。また、ApcΔ716マウスの腫瘍上皮細胞における増殖能とアポトーシスの割合にはId2欠損による影響は認められなかった。以上のことから、Id2はApcΔ716マウスの回腸の腫瘍のexpansionの過程よりもむしろ、腫瘍形成のinitiationの段階に重要であることが示唆された。さらにId2の下流で回腸の腫瘍形成に寄与する因子を網羅的に探索する目的で、Apc:Id2複合変異マウスとApcΔ716マウスの正常の腸陰窩を分離し、それを用いてDNAマイクロアレイを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの解析により、Id2の欠損は腸管腫瘍形成のinitiationを抑制することが明らかとなり、またその過程において寄与する因子を網羅的にDNAマイクロアレイにより解析中であり、ほぼ研究計画通りに研究が遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
Id2の欠損による腸管腫瘍形成の抑制に寄与する因子を同定するため、Apc:Id2複合変異マウスとApcΔ716マウスの正常の腸陰窩の細胞を用いたDNAマイクロアレイの解析により発現が4倍以上の発現変動を認めたもので、かつApc:Id2複合変異マウスとApcΔ716マウス由来mRNAを用いた定量的RT-PCRで発現変化の確認できた因子を候補遺伝子とする。そしてその候補因子の発現を変動させた際の大腸癌細胞株におけるWntシグナルの活性化への影響をルシフェラーゼレポーターアッセイにより検討する。さらに候補因子の発現変動により染色体不安定性に影響が認められるか否か等を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)