2012 Fiscal Year Research-status Report
熱帯熱マラリア原虫由来代謝酵素を標的とした阻害剤スクリーニング系の構築
Project/Area Number |
24790406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
梅田 知伸 昭和大学, 薬学部, 助教 (80514471)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マラリア / 非メバロン酸経路 |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の非メバロン酸経路を制御する化合物(阻害剤)の合理的開発につなげるため、同経路2番目の酵素であるPfDXRを標的としたSPR法により既存の阻害剤の結合強度測定を行った。 Biacore T100を用い、PfDXRをリガンドとしてアミンカップリング法によりセンサーチップ上に固定化し、アナライトとしてfosmidomycinまたはFR900098を用いて結合強度の測定を行った。ランニング緩衝液としては、まずは標準的なHBS-EP+ (0.01M HEPES, 0.15M NaCl, 3mM EDTA, 0.05% Surfactant P 20, pH7.4)を用いた。リガンドの希釈には10mMの酢酸緩衝液を用い、pHは4.0 と5.0で固定化量に差が見られなかったため5.0とした。この条件での測定では、箱型のセンサーグラムが得られ、カーブフィッティングによる解析は困難であり平衡値解析を行った。しかしながら、反応が極めて速いのか解離定数(KD)を算出することが出来なかった。次に、阻害剤だけでは結合が弱い、もしくは結合しないのではと考えPfDXRの酵素反応に必要であるMgを加えて測定を行った。金属が含まれる場合、ランニング緩衝液としてHBS-EP+は使えないため、これからEDTAを除いたHBS-P+(0.01M HEPES, 0.15M NaCl, 0.05% Surfactant P 20, pH7.4)を用いた。しかし、この条件でも上記のような箱型のセンサーグラムとなりKD値を算出することは出来なかった。さらに、Mgに加え補酵素であるNADPHを全ての溶液に加え測定を行ったが、改善は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究のメインテーマであった、Biacoreを用いた阻害剤の結合強度の測定系の確立には至らなかった。ひとつの原因として、タンパク質の精製の際に緩衝液に1級アミンを含むTrisを用いていることが考えられる。精製後に濃縮したタンパク質溶液を酢酸緩衝液で希釈しているので、Tris自体の濃度は無視できる程度になっていたと思われるが、完全に除去しなければならないと考えられた。 また、ランニング緩衝液として市販の緩衝液ではなく、自身で調製し行うことも必要であったのかもしれない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を基に、まずサンプル調製の過程で用いる緩衝液を変えて同様の測定を行ってみる。ランニング緩衝液についても、自身で調製したものを使用するなどして行っていく。 また、研究協力者よりfosmidomycin類似体である新規化合物を数種類提供して頂いたため、これら化合物との複合体の結晶構造解析も行っていく。まずは、結晶化実験の際にサンプル溶液と混ぜて行う共結晶化により行う。結晶が得られないようであれば、化合物を含まない状態で得られた結晶を化合物を含んだ溶液に浸すソーキングにより行う。構造解析に成功後は、サンプルと化合物の相互作用様式から、さらに化合物の構造最適化を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
結合強度測定、結晶化実験等に必要となる消耗品が主な支出となる。 また、研究成果の学会での発表、研究協力者との打ち合わせ等のための旅費も必要となる。
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