2013 Fiscal Year Research-status Report
新規クルクミン誘導体CNB-001のCaMKII活性化および記憶力向上効果
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24790540
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
赤石 樹泰 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (90386384)
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Keywords | 海馬 / 記憶 / アルツハイマー病 / 認知症 |
Research Abstract |
課題2年目にあたる平成25年度は、CNB-001の作用機序を明らかにするため、構造活性相関解明を試みたところ、CNB-001と同様の作用を有する新規クルクミン誘導体CNB-023や、CNB-001よりも高活性な新規化合物J147を発見した。 また、海馬スライス標本を用いた電気生理学的検討を行い、in vitroでCNB-001の長期増強(LTP)促進効果を再現し、そのメカニズムを薬理学的に解明することも試みた。 ラット海馬スライス標本のSchaffer側枝-CA1シナプスにおける興奮性後シナプス電位およびLTPを細胞外記録した。CNB-001を潅流液に溶解し標本に適用すると、通常のシナプス伝達は変化しなかったが、LTP の形成が促進された。この LTP 促進作用は、NMDA受容体の選択的遮断薬またはCaMKII阻害薬の共存によって完全に抑制された。一方で、MAPキナーゼキナーゼ阻害薬を標本に共存させても、CNB-001によるLTP促進作用は抑制されなかった。 以上より、CNB-001はMAPキナーゼ経路には影響を及ぼさずに、NMDA受容体依存性およびCaMKII依存性LTPを促進させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度行っていた研究を発展させて、CNB-001の構造活性相関の解明を試みたところ、CNB-001と同様の作用を有する新規クルクミン誘導体CNB-023や、CNB-001よりも高活性な新規化合物J147を発見することができた。 次いで、得られた知見をもとにプローブを作製し、CNB-001の作用分子を直接同定したいと考えたが、感度の高い化合物の入手が困難であった。よって、実験計画の変更が生じたため、当初の予定よりも「やや遅れている」という達成度に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を変更した後は、電気生理学手法でCNB-001のLTP促進効果を再現し、種々の受容体やシグナル分子阻害薬を海馬に直接処置して網羅的な薬理学的・生化学的検討を行った。その結果、興味深いデータが次々と発見できたため、その一部を2014年3月の第87回日本薬理学会年会で発表した。 よって、今後も現在進行中の薬理学・生化学的手法による網羅的解析を中心に研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の当初の研究計画では、CNB-001のCaMKII活性化および記憶力向上効果の分子メカニズムを、プローブ化した新規CNB-001誘導体を用いて直接同定する予定であった。しかし、高感度のプローブを入手することが困難であった。そこで、計画を変更し、薬理学的手法を用いた網羅的な解析を行うことにより、CNB-001の作用機序を解明することとした。 このような計画変更により、研究の進捗が遅れたため、未使用額が発生した。 研究計画変更後に行っている実験では主に薬理学的・生化学的手法を用いるため、様々な受容体遮断薬やシグナル分子阻害薬、抗体などの消耗品が必要である。また、実験動物も不可欠である。更に、得られた成果は学術論文として公表する予定である。未使用額は、これらの経費に充てることとする。
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