2013 Fiscal Year Annual Research Report
線維筋痛症モデルを用いた脂質制御機構解明およびエピジェネティクス機構の関与の証明
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24790576
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永井 潤 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20608369)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 質量分析 / 慢性疼痛 / 線維筋痛症 / 神経障害性疼痛 / プレガバリン / エピゲノム / オピオイド受容体 |
Research Abstract |
線維筋痛症(FM)の病態分子機構を解明するために脂質代謝とエピゲノム性遺伝子発現制御に関して、神経障害性疼痛(NP)と比較する研究を行った。NPでは産生上昇したリゾホスファチジン酸(LPA)がカルシウムチャネルCava2d1を発現上昇させ、阻害剤pregabalinが疼痛抑制する。本研究ではFMマウスモデルにおいてpregabalinを脳室内投与したとき、数日にわたる疼痛抑制が観察されたが、下降性抑制に関連する複数の脳領域におけるCava2d1の遺伝子発現上昇に有意な変化は観察されなかった。一方、本申請者等はLPA定量に関して、これまで脳組織等から抽出したLPAのリン酸残基をPhos-Tagで標識する方法を用いてきたが、本研究ではより直接に、より正確に定量できる抽出法ならびにLC-MS/MS測定法の確立に成功した。検出感度は1 mg wet tissue脳組織であり、マウス脳の特殊領域のいずれでも測定することが可能となった。しかし、同様に下降性抑制機構に関連する複数の責任脳領域におけるLPA測定を行ったが、現在のところまだ有意な変化を観察するには至っていない。一方、NPでは神経障害後の鈍麻と末梢性モルヒネ鎮痛欠如に関連して、責任分子としてNav1.8とMOP遺伝子のエピゲノム性遺伝子発現低下が観察されているが、FMモデルはNPとは異なり疼痛鈍麻は観察されなかった。一方、FMモデルでは脳室内へのモルヒネ投与による下降性疼痛機構が消失していたことから、責任脳領域におけるMOP遺伝子発現を測定したが有意な変化は観察されなかった。以上のことから、FMモデルは脂質代謝やエピゲノム性遺伝子発現制御において、NPとは全く異なるモデルであることが証明された。
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Research Products
(5 results)