2013 Fiscal Year Research-status Report
インジウム肺発生機序におけるエピジェネティック制御の関与の検討
Project/Area Number |
24790588
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
栄徳 勝光 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (50552733)
|
Keywords | インジウム化合物 / 産業医学 / エピジェネティクス / 酸化ストレス / 呼吸器炎症 |
Research Abstract |
酸化インジウム(In2O3)の気管内への反復投与により、肺線維症をはじめとするインジウム肺を発症するマウスモデル系の構築を進めた。従来の方法で肺組織像の変化、投与量増加に伴う血清中インジウム濃度の上昇は見られたものの、肺線維症をはじめとするインジウム肺の疾患発症には至っていなかった。この原因として従来の気管内投与法による肺中への化合物の投与効率が低いことが考えられたため、肺線維症発症モデルとして広く用いられているブレオマイシン単回投与系を用いて、二つの実験系を比較することで従来のインジウム肺モデル系の改良を試みた。 ブレオマイシンのマウス気管内への単回投与を行ったが、肺組織像に変化が見られなかったため、従来の気管内投与法の問題点を見直し、気管内投与法に使う実験器具や麻酔処理等の実験手技の改変を試みた。改変後の気管内投与法により再度ブレオマイシン単回投与を試みた結果、肺組織の線維化が確認できた。現在は改変後の気管内投与法を用いてIn2O3反復投与実験を進めている。 吸入曝露チャンバーのような特殊な設備を必要とせず、研究室単位で実施可能な気管内投与法によるインジウム肺の動物実験モデルは、ハムスターやラットなど小型実験動物の中でも比較的操作しやすい動物を用いて先行しているが、遺伝学的解析に有利なマウスでの実験系構築はインジウム肺の発症機序解明のために有用な手法であることから、本研究成果がインジウム肺研究の促進化につながることと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの気管内投与法によるインジウム肺の疾患発症に向けて、当初計画を迂回してブレオマイシン単回投与を併行して実施した結果、実験器具や手技等の改変や肺組織病変の作出に至るなどの前進が見られたものの、そのために計画の進行に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き遺伝子発現解析系の構築を進め、正常肺とインジウム肺及びブレオマイシン投与による肺線維症肺から抽出したtotal RNAを材料とした次世代シーケンサーによる網羅的な遺伝子発現解析により、既知の肺線維症関連遺伝子であるCOX2, PU.1, NF-κB, TGF-βなどの遺伝子発現の差異を比較するとともに、新規の肺線維症関連遺伝子のスクリーニングを行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画を迂回して生じた計画の遅れにより、予算執行にも影響が生じたため。 当初マウス実験、培養細胞実験に使用する試薬等に加え、次世代シーケンサーによる網羅的な遺伝子発現解析用の試薬等の消耗品費に当てる。また、研究打ち合わせや学会参加等の旅費、検体等の運送費やシーケンス解析等の外注費も発生する。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Prevalence of Occupational Allergy in Medical Researchers Exposed to Laboratory Animals.2014
Author(s)
Muzembo BA, Eitoku M, Inaoka Y, Oogiku M, Kawakubo M, Tai R, Takechi M, Hirabayashi KI, Yoshida N, Ngatu NR, Hirota R, Sandjaya B, Suganuma N.
-
Journal Title
Ind Health.
Volume: 52
Pages: 256-261
Peer Reviewed
-
-