2012 Fiscal Year Research-status Report
卵膜由来間葉系幹細胞を用いた急性膵炎に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
24790670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
桑谷 将城 北海道大学, 大学病院, 助教 (50431375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 急性膵炎モデル / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
まず,ACIラットに対して急性膵炎モデルラットの作成を試みた.セルレイン誘発急性モデルは,いくつかの既報の通りにセルレインを投与したが,投与24時間後の血清アミラーゼの上昇が軽度にとどまり,病理組織においても軽度の浮腫が認められる程度であった. 次に,タウロコール酸注入急性膵炎モデルを作成した.この方法で重症の急性膵炎モデルが作成できたため,Lewisラット卵膜由来間葉系幹細胞を投与した.しかし,投与1日後および4日後の血清アミラーゼ値はコントロール群に対して有意な改善は認められず,また死亡率も改善を認めなかった. 次にタウロコール酸注入急性膵炎モデルに対して,ヒト卵膜由来間葉系幹細胞を投与する実験を行った.しかし,細胞投与翌日の血清アミラーゼ値に改善は認められず,病理組織スコアも改善しなかった.また,膵局所における炎症性サイトカインの発現も改善を認めなかった. 次にdibutylin dichloride (DBTC)の静注による膵炎モデルを作成した.このモデルではDBTC投与一週間後に著明な膵炎をきたし,二週間後に線維化をきたした.DBTC投与一週間後の体重は減少し,膵重量も減少し,膵における炎症性サイトカインもIL-1betaやIl-6などが上昇していた.免疫組織においてもCD68陽性単球マクロファージの浸潤やCD3陽性T細胞の浸潤が認められたが,Myeloperoxidase陽性好中球の浸潤はほとんど認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの膵炎モデルを作成し,うち一つは細胞投与の実験まで行うことができた.しかし,卵膜由来間葉系幹細胞の効果は認められなかった.その原因として,モデルが急性かつ重症すぎた可能性が示唆された.現在,もう少し炎症の程度が軽く,かつ進展の遅いモデルを作成している.
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Strategy for Future Research Activity |
DBTC投与による膵炎モデルが安定的かつ個体間のバラツキがなく作成できるようになったため,このモデルを用いてヒト卵膜由来間葉系幹細胞の投与を行う.プロトコールとしては,DBTC投与翌日に100万個のヒト卵膜由来間葉系幹細胞を静注し,その1週間後にサクリファイスして効果を検証する.評価項目として体重,膵重量,病理スコア,膵における炎症性サイトカイン(IL-1beta, IL-6, MCP-1)の発現,血中サイトカイン濃度(MCP-1, fractalkine)を予定する. また,in vitroの実験として,膵腺房細胞株AR42Jを用いて,各種炎症刺激を加えたのち,卵膜由来間葉系幹細胞がどのように炎症を抑えているのか検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用ラット,初代培養細胞,ELISAキット,リアルタイムPCR用試薬,免疫染色,血清に対して使用する.
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