2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト人工染色体を利用したダイレクトリプログラミングによる高機能肝細胞誘導法の開発
Project/Area Number |
24790696
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 輝彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (70621027)
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Keywords | 人工染色体 / HAC / リプログラミング |
Research Abstract |
平成25年度は肝細胞様細胞 (iHep)へのダイレクトリプログラミングに必要なFoxa3とHnf4a発現ユニット、HAC導入を確認するための蛍光タンパク質TdTomato発現ユニット及び肝細胞への分化転換をモニターするためのアルブミンプロモーター誘導性GFP発現ユニット各1コピーを組み込んだヒト人工染色体(HAC)をマウス線維芽細胞に導入し、肝細胞様細胞へのダイレクトリプログラミングを試みた。マウス線維芽細胞へのHAC導入はTdTomatoの発現により確認できたが、今回の条件ではiHepを誘導することができなかった。この原因としては①iHep誘導遺伝子の発現量が不十分であること及び②HAC導入効率が低いことが考えられる。そこでこれらの問題を解決するため、①については昨年度開発したHACへの遺伝子同時導入システムを用いて1から3コピーのiHep誘導遺伝子発現ユニットを組み込んだHACを作成し、iHep誘導遺伝子の発現量の向上を図った。またマウス細胞内ではマウス人工染色体(MAC)はHACよりもさらに安定性が高いことから、これら発現ユニット組み込んだマウス人工染色体(MAC)の構築も行った。また②の問題を解決するためウィルスエンベロープタンパク質を利用した新規染色体導入技術を開発した。本法を用いることによりHACの導入効率は最大でおよそ50倍向上させることができた。平成26年度はこれらのHAC/MACベクター及び染色体導入法を用いてリプログラミングHAC/MACによるiHepの誘導を再度試み、従来法よりも均質で高機能なiHepを誘導できるか検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HACによるiHep誘導はこれまでのところ成功していないが、平成25年度中に問題を解決するためのHAC/MACの構築と染色体導入技術の開発に成功しており、平成26年度は研究の進展が期待されることから研究目標の達成に向けて概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は改良したHAC/MACおよびその導入技術を利用してダイレクトリプログラミングによるiHepの誘導を行い均質で高機能な肝細胞様細胞の誘導法を確立する予定である。また本研究過程で開発したHACへの遺伝子導入技術と染色体導入法はどちらも非常に有用性の高い手法であることから、これらの手法についてもさらに詳細な実験を行って論文として発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規染色体導入技術の開発により、染色体導入に必要な細胞培養関連試薬の支出を抑制することが可能となったため次年度使用額が発生した。 次年度はiHep誘導試薬などで多くの消耗品を購入する必要があるため次年度請求研究費と合わせてこれに充てる予定である。
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Research Products
(2 results)