2013 Fiscal Year Annual Research Report
部分的脾動脈塞栓術と自己骨髄細胞投与療法を組み合わせた新規肝線維化改善療法の開発
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24790704
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 剛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20569305)
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Keywords | 肝線維化 / 門脈圧亢進症 / 自己骨髄細胞投与療法 / 部分的脾動脈塞栓術 |
Research Abstract |
我々はこれまでの動物(マウス)実験より「骨髄細胞投与(BMI)の肝線維化改善効果」を証明し(Sakaida I, et al. Hepatology 2004)、また脾臓摘出術(脾摘)がその効果を促進することを報告してきた(Iwamoto T, et al. J Gastroenterol. 2012)。 本基礎研究ではまず、脾摘同様に我々が実臨床で積極的に施行している部分的脾動脈塞栓術(PSE)に匹敵するマウスモデル「部分的脾動脈結紮術(PSL)」の確立を目指した。小動物であるマウスに対するPSLは技術的に非常に難易度が高く当初はその手技が安定しなかったが、予定よりも時間を費やしたものの目標とした60-70%程度の脾梗塞が得られた。次に、四塩化炭素の腹腔内反復投与により作成された肝硬変マウスをsham operation群・脾摘群・PSL群に群別し、血液生化学検査・組織学検査の結果を比較・検討した。各群において術後経過や生存率に有意な差は生じず、また脾摘群とPSL群を比較すると血小板増加率が前者で有意に高かったものの、その他の所見に有意差は認められなかった。 また臨床研究においては、肝硬変症に対するPSE症例を対象として肝線維化に関連する各種サイトカイン・増殖因子の変化を解析したところ、HGFなどの増殖因子やMMPなどのコラゲナーゼがPSE後に劇的に増加することが証明された。肝硬変マウスに対するPSLモデルでもほぼ同様の結果が得られており、血清レベルのみならず肝組織レベルでのさらなる評価が必要と思われる。 PSLモデルの確立に時間を要したため、当初予定していたPSL先行BMIモデル(PSL/BMI model)を用いた最終実験が期間内に十分に行えず、PSLとBMIが「肝線維化改善」にもたらす相乗効果を証明するには至らなかった。今後さらに研究を継続し、論文化していく予定である。
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Research Products
(5 results)