2012 Fiscal Year Research-status Report
カルパイン・カルパスタチンシステムの制御によるあらたな腹部大動脈瘤治療戦略の構築
Project/Area Number |
24790784
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮崎 拓郎 昭和大学, 医学部, 助教 (80398693)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | カルパイン / 腹部大動脈瘤 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
本年度は、血管内皮細胞特異的カルパスタチントランスジェニックマウスの作出(1)を進める傍ら、動脈瘤病変におけるカルパインシステムの挙動(2)を解析した。 (1)血管内皮細胞特異的カルパスタチン(Cast)トランスジェニックマウスの作出 作出したLNL-CastTgマウスとLDL受容体欠損マウスを交配することで、LNL-CastTg/LDLR-/-マウスを得た。これをTie-2-Cre Tg/LDLR-/-マウスと交配することで、血管内皮細胞特異的CastTg/LDLR-/-マウスを得た。 (2)動脈瘤病変におけるカルパインシステムの挙動 高コレステロール食を負荷したLDL受容体欠損マウスにアンジオテンシンIIを4週間投与したところ、腹部大動脈に瘤の形成が認められた。カルパスタチンおよびm-カルパインについては動脈瘤において発現低下が認められたが、μ-カルパインには変化が認められなかった。カルパスタチンはカルパインの阻害因子であることから、動脈瘤では特にμ-カルパイン活性が増加していると考えられる。興味深いことに、これはマルファン症候群患者の動脈解離部で過去に報告されている発現パターン(Pilop et al., Circulation, 2009)と一致する。 また、大動脈においてカルパスタチンは血管内皮細胞に強発現することを確認しているので、培養ヒト大動脈血管内皮細胞におけるカルパスタチンの機能を解析した。培養内皮細胞にμ-、m-カルパインを強制発現させたところ、VCAM-1の発現が増加した。また、SiRNAによるカルパスタチンの下方制御はIL-6による血管内皮細胞の炎症応答を促進する事が明らかとなった。IL-6は動脈瘤の形成に深く関わることが知られており、カルパスタチン下方制御に伴うIL-6シグナルの亢進が動脈瘤の形成に関与することも考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの作製については順調に進んでいる。また、動脈瘤病変におけるカルパインシステムの挙動についてもおおむね完了しており、血管内皮細胞におけるカルパスタチンの発現低下がμ-カルパインを主体とするカルパインシステムの活性化を引き起こしていることが明らかとなった。また、平成25年度以降に予定していた培養細胞におけるメカニズムの確認も前倒しして行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに作製した遺伝子改変マウスを用いて瘤の形成に対するCast過剰発現の表現型を解析する。現在のところ、血管内皮細胞におけるカルパインシステムの発現変動が顕著で、骨髄由来細胞に関しては因果関係が明確になっていないことから、血管内皮細胞特異的CastTg/LDLR-/-マウスを優先的に解析する。 ・動脈瘤病変の解析:各個体の収縮期血圧を経時的にモニターする。個体数をモニターし、生存率の解析を行う。また、エンドポイントで血管を摘出し、血管径・血管重量・弾性板断裂を評価する。また、α-スペクトリンの切断を指標とし、カルパイン活性を測定する。血管壁でのNF-κB活性亢進によりMMPやサイトカイン類が分泌されるので、核移行を指標として組織のNF-κB 活性を評価する。また、NF-κBの阻害因子であるIκBはカルパインの基質となり得るので、IκB の切断をウエスタンブロット法で評価する。MMP、サイトカイン類(INF-γ、MCP-1、IL-6等)は定量的RT-PCR法等を用いて定量する。MMP活性分布をin situザイモグラフィを用いて測定する。 ・血管内皮機能の評価:動脈瘤形成には内皮細胞への免疫細胞の接着、血管新生が関与する。免疫組織化学的手 法を用いて、CD31陽性新生血管の密度および接着分子(VCAM-1等)の発現を定量する。また、定量的RT-PCR法、ウエスタンブロット法を用いて、関連分子(PAI-1、VEGF受容体、VCAM-1、p-selectin等)の発現、VE-カドヘリンの切断を確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は次のような研究費の使用を予定している(金額の単位:千円) 動物飼育費(飼料代を含む)350、ELISAキット200、抗体100、浸透圧ポンプ300、AngII100、PCR・定量的PCR試薬200、免疫染色関連費用100、ウエスタンブロット消耗品100、TUNELキット100、細胞培養費用100、In situザイモグラフィキット100 合計 1,750
|
-
-
-
[Journal Article] Identification of Hic-5 as a novel regulatory factor for integrin αIIbβ3 activation and platelet aggregation in mice.2012
Author(s)
Kim-Kaneyama JR, Miyauchi A, Lei XF, Arita S, Mino T, Takeda N, Kou K, Eto K, Yoshida T, Miyazaki T, Shioda S, Miyazaki
-
Journal Title
J Thromb Haemost
Volume: 10
Pages: 1867-1874
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-