2012 Fiscal Year Research-status Report
色素性乾皮症A群患者の神経障害に及ぼす酸化的DNA損傷サイクロプリンの役割
Project/Area Number |
24790895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岩本 顕聡 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20448773)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換, アメリカ |
Research Abstract |
本年度は、酸化的DNA損傷サイクロプリンに対する新規モノクローナル抗体(CdA-1)の性能解析を行った。IgG2a(κ)に属する本抗体の結合特異性を酵素標識免疫法(ELISA)で検討した結果、抗原に使用した (5'S)-cyclo-dA-DNAに強く結合するが、正常DNA、紫外線照射DNA、AAF-DNAおよび8-oxo-dA等には結合しなかった。また、サイクロプリンの形成が報告されている低酸素下・高線量X線によるDNA照射を行ったところ、線量依存的に抗体結合が増加した。さらに、同様の照射をDNAやoligo-dAに行った場合は抗体結合が見られたが、oligo-dGには見られなかった。それ故、本抗体はDNA中のサイクロプリンの内、cyclo-dGには結合せず、(5'S)-cyclo-dAに特異的に結合することが示唆された。 本抗体は10万塩基中1個から20個の (5'S)-cyclo-dAを含む4種類のオリゴDNAに対し直線的に結合を増加させることから、サンプルDNA中の絶対損傷量の測定に応用できることがわかった。現時点で、10万塩基中1個の(5'S)-cyclo-dAを定量できる感度を持つ。そこで、ヒドロキシラジカルを効率的に発生できる過酸化水素、銅イオン、およびアスコルビン酸を3時間処理したDNA中の損傷を測定した結果、処理濃度依存的に(5'S)-cyclo-dAが誘発され、最大10万塩基中60個に達することがわかった。また、(5'S)-cyclo-dAオリゴを導入したヒト骨肉腫細胞(USOS)を固定し、蛍光免疫染色を行った結果、(5'S)-cyclo-dA特異的な蛍光シグナルを観察できた。 今後、本検出系の高感度化およびXP-Aマウス臓器における(5'S)-cyclo-dAの測定に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サイクロプリンの検出系の高感度化に手こずっている。細胞に過酸化水素、銅イオン、およびアスコルビン酸を処理し、ELISAと蛍光免疫染色を用いてゲノムDNA中からサイクロプリンの検出を試みているが、まだ実験系が確立していない。
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Strategy for Future Research Activity |
サイクロプリンの検出系を高感度化させるため、(5'S)-cyclo-dA、(5'R)-cyclo-dA、(5'S)-cyclo-dG、(5'R)-cyclo-dG、計4種類の損傷を認識する新規の特異モノクローナル抗体を作製する。DNAにサイクロプリンを誘発させる実験系は確立できたので、これを基に抗原を作製すればCdA-1より親和性、特異性の高い抗体を獲得できると考えられる。この新規抗体を用いて、100万塩基中に1個の(5'S)-cyclo-dAを定量できる実験系を開発し、XP-Aマウス臓器におけるサイクロプリンの測定に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Tmem100, an ALKI signaling-dependent gene essential for arterial endothelium differentiation and vascular morphogenesis2012
Author(s)
S.Somekawa, K.Imagawa, H.Hayashi, M.Sakabe, T. Ioka, G.E. Sato, K. Inada, T. Iwamoto, T. Mori, S. Uemura, O. Nakagawa, and Y. Saito
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 109
Pages: 12064-12069
DOI
Peer Reviewed