2013 Fiscal Year Research-status Report
小児神経筋疾患の非侵襲的鑑別診断を目的とした、表面筋電図解析法の研究開発
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24790900
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
東原 真奈 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20622476)
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Keywords | 筋電図定量解析 / 小児 / 神経筋疾患 / 表面筋電図 / MUNE |
Research Abstract |
研究課題である「小児神経筋疾患の非侵襲的鑑別診断を目的とした、表面筋電図解析法の研究開発」は、疼痛の伴う針筋電図検査による神経筋疾患の鑑別診断に代わる方法として、非侵襲的な電気生理学的手法である表面筋電図を用いた定量解析法を開発することを目的としている: 1) 小児科患児例での検討:国立精神・神経医療研究センター小児神経科に研究協力を要請し、共同して行った。筋ジストロフィー、末梢神経障害、脊髄性筋萎縮症(SMA)など神経筋疾患の患児27例において前脛骨筋における表面筋電図検査を施行した。記録に際しての電極配置については成人における検討と同様の方法で行い、CI法を用いた表面筋電図の定量解析も施行した。神経原性疾患の患児から得られた483 epochと、筋疾患の患児から得られた722 epochを解析した。 神経原性疾患9例中4例、筋疾患18例中11例で、神経原性か筋疾患かの鑑別は100%の特異度で診断可能であった。特にSMA患児では3例中2例、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患児では7例中6例で診断可能であった。 2) MUNEについての検討:CI法の比較対象となる運動単位数推定法 (MUNE)について、より適切な定量解析法を考案するための研究を行い、論文発表を行った。 3) 結果の学会ならびに論文発表:以上の成果、及びその他の関連する研究の成果について、アジア・オセアニア臨床神経生理学会(2013年8月)、アメリカ神経筋電気診断学会(2013年10月)、国際臨床神経生理学会(2014年3月)などの国内・国際学会において発表し、また複数の論文発表、投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に書いたように、実際に神経筋疾患の患児27例において、表面筋電図検査を施行し、得られた筋電図データの定量解析を行った。小児の検査においてはこれまでにない、まったく非侵襲的な検査であるにもかかわらず、我々の期待通り、かなり高い特異度で神経原性疾患と筋疾患を鑑別することが出来た。特に神経伝導検査など他の方法での鑑別の難しい、脊髄性筋萎縮症と筋疾患とを鑑別することができたことは非常に有意義な、実際の臨床での有用性が期待できる結果であったと考えている。さらに、幼児においても侵襲なく検査が可能であり、十分な指示が入らなくても、筋電図の評価が可能であったことは特筆すべき価値があると考える。一方で、対象となる小児の神経筋疾患患児数が少ないので、25年度に引き続き、国立精神神経医療研究センター小児神経科との共同研究を継続し、対象患児数を増やすと同時に、検者間再現性についても検討していく。2013年度の研究実績としては、2編の当該研究・関連研究についての英文論文の掲載・採択を実現し、7件の国際学会、2件の国内学会発表を行った。以上から、本研究は順調に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
精神神経医療研究センター小児神経科の研究協力のもとに、表面筋電図解析についての研究を以下の観点から引き続きすすめていく: 1)小児における表面筋電図解析法であるCI法の各種パラメータ(電極配置、解析のための適切なwindow幅の設定、皮下組織の影響など)についての最適化 2)対象における表面筋電図検査およびCI法を用いた解析 3)小児神経筋疾患の鑑別診断における感度・特異度の評価および正常値の確立 4)検者間再現性についての検討
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Research Products
(15 results)