2013 Fiscal Year Annual Research Report
PGC1α新規アイソフォームのエネルギー代謝制御における機能の解析
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24790924
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野村 和弘 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (70450236)
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Keywords | エネルギー代謝 / 骨格筋 / 肥満 / PGC1α |
Research Abstract |
PGC-1αはエネルギー代謝制御に重要な機能を果たすと考えられる転写コアクチベーターである。我々はこれまでに既知PGC-1αの第1エクソンの上流に存在する新規エクソンから転写が開始されるPGC-1αの新規アイソフォームを同定し、PGC-1αb/cと命名した。PGC-1αb/cを特異的に欠損するマウスを作製したところ、肥満とインスリン抵抗性を呈し、エネルギー消費量は運動量が増大する暗期にのみ低下を認めた。またPGC-1αb/c欠損マウスでは運動による骨格筋の脂肪酸代謝系遺伝子の発現増加及び運動による脂肪量の減少が抑制されていた。 また野生型マウスにβアドレナリン受容体拮抗薬を投与すると運動による骨格筋のPGC-1αb/cの発現増加が抑制され、β2アドレナリン受容体刺激薬を投与すると骨格筋でPGC-1αb/cの発現が特異的に誘導された。また、PGC-1αb/c欠損マウスではβ2アドレナリン受容体刺激薬による酸素消費の増加が抑制されていた。以上の結果から、PGC-1αb/cは運動時に交感神経活性化を通じて骨格筋で発現が増加し、脂肪酸酸化系遺伝子の発現誘導を介して、エネルギー消費を活性化する機能を持つと考えられた。 肥満モデルマウスでは、定常状態でも骨格筋でのPGC-1αb/cの発現が低下し、β2アドレナリン受容体刺激薬投与によるPGC-1αb/cの発現増加及びエネルギー消費の増大も著しく抑制されていた。これら肥満モデルマウスの骨格筋では各アドレナリン受容体アイソフォームのうち、β2アドレナリン受容体の発現が特異的かつ顕著に低下し、アドレナリン感受性の低下、即ち「アドレナリン抵抗性」が生じていた。このような肥満における骨格筋の「アドレナリン抵抗性」発症メカニズムについてさらに詳細に解析中である。
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