2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24790995
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤井 博 金沢大学, 大学病院, 助教 (20596895)
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Keywords | ケモカイン / 関節炎 |
Research Abstract |
前回までの実験でIL-1ra-/-マウスにおいてCCR2遺伝子を重複欠損することで関節炎は増悪したことを報告したが、IL-1ra-/-マウスにMCP-1を関節内投与したところ、関節炎はむしろ増悪した。関節内のCCR2陽性細胞をフローサイトメトリーで検討したところ、主要なCCR2陽性細胞はマクロファージであることを確認したため、仮説としてこれらマクロファージは関節炎初期には炎症を促進するマクロファージ(M1)であり、時間経過とともに炎症を抑制するマクロファージ(M2)に変化するのではないかと考えた。 まず、関節ホモジネートの複数項目のサイトカイン、ケモカインタンパク濃度を、関節炎の起きる12週から20週まで4週おきに測定したところ、IL-1ra-/-CCR2-/-マウスでは20週においてIL-1ra-/-マウスに比べ、優位にIL-4、IL-10、IFN-γが低下していることが確認された。 IL-10は過剰な炎症反応の抑制や一連の免疫反応の終息に関与していると考えられているサイトカインであり、M2マクロファージからも産生されることが知られている。このためIL-1ra-/-マウスにおいてIL-10の産生細胞をフローサイトメトリーにて検討したが、関節内のCD11b陽性細胞にはIL-10を産生する細胞は認められなかった。フローサイトメトリーの条件に問題があると考え、条件を変えて検討したが、IL-1ra-/-マウスの関節内細胞からIL-10を産生する細胞を証明することはできなかった。IL-1ra-/-CCR2-/-マウスにおける関節炎の増悪の原因としてはIL-10の関与が強く疑われたため、今後の検討としてリンパ球からのIL-10産生の可能性、マクロファージをMCP-1で刺激した場合のIL-10の産生などを検討している。
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