• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

新規T細胞受容体単離システムを応用した慢性肝炎治療用ペプチドワクチンの開発

Research Project

Project/Area Number 24791019
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

小林 栄治  富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (70459733)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsペプチドワクチン
Research Abstract

本研究では我々が独自に開発したT細胞受容体(TCR)遺伝子クローニングシステムを用い、C型肝炎ウイルス(HCV)特異的TCR遺伝子の網羅的なクローニングを行い、エピトープに対するそれぞれのTCRの親和性を解析する。この解析により、HCVに高親和性のTCRをもつ細胞傷害性T細胞を誘導できるエピトープペプチドを同定することが目的である。
具体的な方法として本研究では以下の実験を計画している。HCVの候補エピトープのペプチド多数種のカクテルで同時に刺激を行い、活性化するT細胞すべてのTCR遺伝子をクローニングした後、TCRを再構築してエピトープの解析およびTCRの親和性の解析を行う。これにより従来の予測されるエピトープごとにTCRのクローニングを行う方法では不可能だった広範囲のペプチドワクチン候補に対して効率的な解析が可能になる。
上記方法の予備実験として、以前の研究により抗原ペプチドとそれに反応するTCRを発現するCD8+T細胞の組み合わせが明らかなドナー由来末梢血単核球(PBL)より計画した方法で既知のTCR遺伝子がクローニングできるかを検討した。具体的にはEpstein-Barr virus(EBV)の構成タンパクであるBRLF1のHLA-A24に提示されるエピトープペプチドをBIMASにより予測し、上位10個のペプチドを合成した。合成したそれぞれのペプチドカクテルを用いてPBLを刺激し、IFN-γを産生するCD8+T細胞をシングルセルソーティングにより回収した。回収した細胞のTCR配列を解析したところ、予定した既知のTCR遺伝子配列が確認できた。よって、この方法を用いることで、慢性肝炎患者由来PBLよりHCV特異的TCRの解析が可能であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究ではHCVのエピトープ候補の多数種のペプチドカクテルで同時に刺激を行い、活性化するT細胞すべてのTCR遺伝子をクローニングした後、TCRを再構築して解析を行う計画である。この解析により、HCVに高親和性のTCRをもつCD8+T細胞を誘導できるエピトープペプチドを同定することが目的である。複数のペプチドカクテルにより特異的なTCRを持つCD8+T細胞が刺激・活性化されIFN-γを産生するかどうか不明であったため、予備実験を行った。
予備実験として、以前の研究により特異的抗原ペプチドとそれに反応するTCRを発現するCD8+T細胞の組み合わせが明らかなドナー由来PBLより、
計画した方法で既知のTCR遺伝子がクローニングできるかを検討した。その結果、予定した既知のTCR遺伝子配列が確認できた。よって、この方法を用いることで慢性肝炎患者由来PBLを候補ペプチドのカクテルで刺激することにより、HCV特異的TCRの解析が可能であることが示唆された。しかしながら、まだ予備実験が成功した段階であり、実際に慢性肝炎患者由来PBLの解析には至っていない。本研究では多数のサンプルを解析する必要があるため、今後確立した実験手法により積極的に解析を進めていく必要がある。

Strategy for Future Research Activity

我々が独自に開発したシステムを用いて、慢性肝炎患者のPBLよりHCV特異的CTLのTCR遺伝子の網羅的なクローニング(2、3百個程度を予定)を順次進める。取得したTCR遺伝子をレトロウイルス発現ベクターに相同組み換え法によって組み込む。この方法は制限酵素を用いないため、TCR遺伝子に内在する制限酵素配列による制限を受けず、また従来の組み換え処理を必要としないため、短時間で効率的な発現ベクターの構築が可能になっている。作製した発現ベクターを自己のTCRを欠損するT細胞株であるTG40に導入して細胞表面に発現させる。取得したTCRを発現させたTG40とペプチドを提示させたリンパ球を共培養する。発現させたTCR遺伝子のエピトープならば活性化マーカーであるCD69の発現が誘導されるので、これを指標に、取得したTCRのエピトープを同定する。
更に、TCRが抗原提示細胞上のMHC/ペプチド複合体と結合することでT細胞は活性化するが、同時にTCRの発現を減少させることが知られている。TG40においてもペプチド/MHC複合体からの刺激にともないTCRの発現が減少する。そこで、この反応を利用し、抗原ペプチド濃度依存的なTCRの発現減少を比較することで、取得したTCRの抗原に対する親和性を比較する。検出したHCV特異的T細胞の回収以降は研究代表者等がすでに確立したシステムを用いるため比較的スムーズに進展することが予想される。一方、慢性C型肝炎患者からのHCV特異的CD8+T細胞の検出が困難な場合には、HCV感染後に治癒した患者リンパ球から同様にエピトープペプチドを同定することで、慢性肝炎患者のCD8+T細胞活性化効果を検証する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は実験手法の確立のため予備実験に注力した。そのため研究費の使用が予定よりも少なくなり次年度使用額が生じた。平成25年度使用額に加え、この次年度使用額を平成25年度におけるペプチド合成、抗体、PCR試薬、シークエンス試薬、遺伝子導入試薬、チューブやチップなどの消耗品費にあて、積極的にHCV特異的TCRの解析を進める。

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi