2012 Fiscal Year Annual Research Report
新生児糖尿病の包括的研究:新規責任遺伝子の探索ならびに血糖管理指標の確立
Project/Area Number |
24791036
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 滋 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80516394)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 新生児 / 糖尿病 / 遺伝子 / グリコヘモグロビン / グリコアルブミン |
Research Abstract |
新生児糖尿病は生後6カ月以内に発症する糖尿病と定義され、単一遺伝子異常に起因する糖尿病である。これまで、13の責任遺伝子が明らかとなっているが、約30%の症例は原因不明である。新規責任遺伝子の同定は、病態の解明、治療法開発に有用であり、本研究においてはエクソーム解析によるアプローチを行った。その結果、先天性心疾患を伴う膵形成不全の2症例に、GATA6遺伝子のヘテロ接合性変異を同定した。このうち、1例に認めた新規ナンセンス変異の患者末梢血RNA解析により、変異mRNAはnonsense mediated mRNA decayを受けることを示した。このことは、GATA6ハプロ不全が膵形成不全の原因となることを、ヒト試料を用いて初めて示したものである。 また、新生児糖尿病の治療管理上の問題点として、血糖コントロール指標のゴールドスタンダードであるHbAlcが、乳児期に残存する胎児ヘモグロビン(HbF)のために使用できないことが挙げられる。我々は、グリコアルブミン(GA)が、新生児糖尿病の血糖値をよく反映することを報告してきた。今回、健常乳児のGA値を検討し、乳児の基準値を作成した。すなわち、健常乳児のGAは、成人基準値より低値を示すこと、血糖値とは独立して年齢依存性に上昇することを初めて明らかにした。したがって、新生児糖尿病のGAを評価する際には、日齢に応じた基準値で評価しなければならないことを提唱した。さらに、血糖コントロール指標として、HbFの影響を受ける可能性が少ないと考えられるアフィニティ法によるグルコヘモグロビン値を健常乳児で検討した。その結果、アフィニティ法によるグリコヘモグロビンは血糖値およびGA値と有意の正相関を示し、血糖コントロール指標となり得るが、乳児期のヘモグロビン半減期の短縮ならびにHbFの糖化率低下のために、見かけ上低値を示すことに注意が必要であることを示した。
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