2014 Fiscal Year Annual Research Report
母乳性黄疸の発症予防のための遺伝子転写機構の解明のための研究
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24791058
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松井 克之 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60595924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 母乳性黄疸 / UGT1A1 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳性黄疸のメカニズム解明のため生後1か月の乳児50人を対象とした基礎研究を行った。血清総ビリルビン値(TB)は母乳哺育で上昇していたが、完全母乳でない場合は摂取割合による差は認めなかった。TBの平均(±SD)は完全母乳では8.71(±3.77)mg/dL、完全母乳でない場合は4.31(±2.58)mg/dLであり、完全母乳であるか否かがTBに影響を与えることが判明した。 次に完全母乳の有無とUGT1A1遺伝子の各遺伝子多型(p.G71R、(TA)7、c.-3279T>G)の有無で総ビリルビン値との関連性を評価した。UGT1A1遺伝子の各遺伝子多型の中ではp.G71Rのみが総ビリルビン値上昇に関連していた。解析の結果、TBは完全母乳群ではそうでない群の2.1倍に、p.G71Rがヘテロで存在する群では存在しない群の1.8倍であった。 さらに他の黄疸増悪因子を評価するため完全母乳とp.G71Rの存在の有無で補正した補正血清総ビリルビン値(CTB)で解析した。CTBは甲状腺ホルモンやコルチゾールとは相関は認めなかったが、胆道系酵素(ALP、LAP、γGTP)と正の相関を示していた。LAPの平均(SD)は81.4(±13.7)U/Lであり、10U/L増える毎に総ビリルビン値は1.2倍に増加した。LAPが+2SD値(基準上限値)であれば総ビリルビン値は1.7倍に増加することとなり、完全母乳やp.G71Rに匹敵する影響があることが判明した。 これらの結果から母乳性黄疸には完全母乳であることやUGT1A1遺伝子にp.G71R多型を持つことの影響が大きいものの、胆道系肝機能にも大きく影響を受けることが明らかとなった。また完全母乳でない場合には母乳摂取割合とTBとの相関関係がないことより、母乳中の物質が黄疸を増強させるわけではなく、人工乳中の物質により黄疸が軽減する可能性が示唆された。
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Remarks |
本研究の結果については投稿準備中である。
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