2014 Fiscal Year Annual Research Report
流早産・妊娠高血圧腎症病態解明に向けたTh17細胞/制御性T細胞の機能解析
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24791107
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 実香 富山大学, エコチルユニットセンター, 特命助教 (80401850)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
Th17細胞は移植片拒絶反応に関与することが報告されているが、胎児も母体に対してある種の移植片に例えられる。そう考えると、早産や妊娠高血圧症候群は移植片拒絶反応とも考えられる。妊娠高血圧症候群ではなかったが、重症の子宮内胎児発育遅延を認めた症例で、母体の血中抗HLA抗体が陽性であった症例を経験した。抗HLA抗体は移植片拒絶反応の代表的なマーカーであるが、胎盤での炎症反応は軽度あった。特徴的だったのは絨毛内の胎児側の毛細血管内皮細胞にC4dの沈着を認めた。そこで報告者は、重症の妊娠高血圧腎症症例8例の胎盤で、リンパ球(CD3,CD8,IL-17)、マクロファージ(CD68,CD163)、補体分解産物C4を免疫染色することで、移植片拒絶様の反応が起こっていないかを確認した。8例中一例で絨毛や絨毛間腔に著明なリンパ球の集簇があり、絨毛炎を認めた。その症例胎盤ではC4dの瀰漫性な巣状沈着を認めた。集簇したリンパ球の一部はIL-17陽性リンパ球であった。妊娠高血圧腎症の発生機序の一つとして、IL-17が関与する胎児拒絶反応がある可能性を示唆している。今後症例を重ね、妊娠高血圧症候群の病態を明らかにするとともに、予防や治療についても考察していきたい。
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