2013 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体陥入型シナプスにおける不安および恐怖記憶調節機構の分子基盤解析
Project/Area Number |
24791192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 隆行 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60374229)
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Keywords | 扁桃体 / カンナビノイド / モノアミン / アセチルコリン |
Research Abstract |
不安や恐怖は生体防御機構の1つである一方、「過度な」不安や恐怖がこころの破綻を生じさせると考えられる。扁桃体は不安や恐怖を制御する重要な脳部位であり、うつ病の発症とも密接に関連すると考えられている。in vitroおよびin vivo実験系において、マウスの扁桃体にカンナビノイド受容体作動薬を局所投与した結果、セロトニン遊離量が減少し、カンナビノイド受容体阻害剤によってセロトニン遊離量が回復した。これらの薬物投与はいずれもドーパミン遊離量には変化を与えなかった。内因性カンナビノイドはGq/11タンパク質に共役するする受容体の活性化によって生合成されることが知られ、扁桃体においてこの可能性を検証した。Gq/11共役受容体としてムスカリン性アセチルコリン受容体M1、コレシストキニンB受容体(CCK-BR)、セロトニン2受容体(5-HT2R)、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR5)を候補とし、各受容体の選択的活性化による内因性カンナビノイド(2-AG)合成について、GABAによるシナプス後電流(IPSC)をホールセルパッチクランプ法により解析した。いずれの受容体作動薬も扁桃体基底核錐体細胞で記録されるIPSCを減弱させた。また、5-HT2受容体の活性化により内因性カンナビノイド合成され、シナプス伝達が抑制される機序を見出した。以上のことからマウス扁桃体では陥入型シナプスの内因性カンナビノイドシグナル伝達系を介してセロトニン遊離を能動的にコントロールし、局所的かつ即時的なセロトニン放出抑制機構を可能にする新規メカニズムが存在すると考えられる。
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Research Products
(11 results)