2013 Fiscal Year Research-status Report
拡散強調画像を利用した側脳室内脳脊髄液の温度測定における基礎的検討
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24791325
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
赤澤 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50547784)
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Keywords | 拡散強調画像 / 脳室温度 / 鼓膜温度 |
Research Abstract |
脳の温度は代謝による熱産生と、主に脳血流による熱の除去のバランスの維持によって一定に保たれている。今年度は体温と脳温度の関係を明らかにするために、MRIの拡散強調画像を利用して脳室温度を計測する手法を用い、異なる体温下において脳室温度に変化が生じるかについての検討を行った。 MRIの撮像条件に関しては、前年度の当該研究の結果から、motion-probing gradientを15軸とし、スライス厚に関しては3mm厚を用い、同一の被験者を2週続けて撮像を行い(6-7日後に再撮像)、それぞれの脳室温度のデータを取得した。またそれぞれの頭部MRIの撮像前に、左右の鼓膜温度の計測を行い、鼓膜温度と脳室温度の変化の比較を行った。被験者は頭部疾患のない健常成人ボランティア15名(男10 女5 25~32歳 平均27.1±1.7)であった。 得られたデータの解析により、鼓膜温度の変化と脳室温度の変化には正の相関が得られ(P=0.032)、体温は脳室温度に影響を与える可能性が示された。脳の代謝活動によって発生した熱が、脳血流によって頭蓋外に運び出されることによって、脳内の温度は一定に保たれているが、体温が上昇すると血液の温度も上昇するため、その結果脳の熱の除去の効率が低下することが、今回の脳室の温度変化の原因と考えられた。 今回の研究結果により、この手法を用いた様々な検討を行う際には、体温の違いも考慮に入れる必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭部疾患のない健常成人ボランティアのリクルートが問題なく完了し、撮像あるいはデータ解析にも支障を生じず、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間で得られたデータや知見をまとめ、国際学会に発表するとともに、英語論文を作成し、英文雑誌に投稿を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究には高性能の演算能力および画像解析を可能にする高速ワークステーションが必要不可欠であり、その購入にあてる予算を計上していたが、既存の機器にて代用したため、使用額に変更が生じた。 今後の国際学会の旅費および論文作成に必要な諸費用などに使用していく。
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Research Products
(9 results)