2012 Fiscal Year Research-status Report
安全で効果的な術中運動誘発電位刺激電極および刺激方法の開発
Project/Area Number |
24791492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
児玉 邦彦 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50432183)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳外科手術機器学 |
Research Abstract |
本研究は脳神経外科手術における術中運動誘発電位(MEP)測定の安全で効率的な刺激電極および刺激方法の確立を目的とする。これまで術中MEPの利用により、手術操作による運動麻痺を予測し手術方法を変更することで、術後の運動麻痺の回避が可能となり、多くの施設で使用され始めている。現在、脳表刺激においては脳表脳波記録用プラチナ電極による刺激が多用されているが、医療機器として保険認定された電極はない。また、刺激方法についての注意点や基準がなく、時にけいれんなどの合併症報告が散見される。これは誤った条件でのMEP電気刺激が、脳へダメージを与えることが正しく認識されていないことによる。MEP刺激による脳への影響を詳細に検討し、安全なMEP測定法を開発・確立することはより安全な脳神経外科手術に極めて重要である。 本研究者は(1)ラット脳の経皮質MEP刺激による脳障害モデルを完成させた。刺激の強度、時間、回数、頻度の4つのパラメータを変化させ、刺激後の脳のダメージとの関連を検討した。この結果、脳のダメージは与えた総電力量(Q=I2Rt x 刺激回数)に比例するものの、総電力量が同じ場合は、刺激強度と刺激回数は刺激時間に比べて障害をより強く起こすことを発見した。(2)この障害はフィブリン糊を利用することで減少することを実証した。 さらに、このラットを用いた電気刺激による脳障害モデルを用いて、皮質刺激の種類を変えて単相刺激と二相刺激でMEPの誘発閾値を比較した。単相刺激よりも二相性刺激でMEP閾値が高い傾向であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット実験モデルを用いて(A)皮質刺激における刺激種類を検討した:単極刺激と双極刺激anode皮質刺激で誘発される運動閾値と皮質に生じる脳障害を観察し、有効で安全な刺激条件(単極 or 双極)、刺激の強度、時間、回数、頻度の5つのパラメータを変化させて解析した。 (B) 単相刺激と二相性刺激の検討:上記(A)にて見出した条件下で、さらに皮質刺激の種類を変えて単相刺激と二相性刺激では、どちらが有効でかつ安全をかを見出す。刺激を2相性に行うと、単相刺激と同じ電気量であるが、単相刺激よりも二相性刺激でMEP閾値が高い傾向であることを発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ラットを用いた脳表刺激モデルでは、MEP測定の際に脳表刺を二相性刺激で行うと、単相刺激に比べ運動閾値は高い傾向であることが明らかになった。このモデルを使用し、脳表の障害の程度の検証を進め、どのようなMEP刺激が安全でかつ効率的な術中MEPモニタリング法であるかを検証する予定である。必要に応じて、ウサギ、犬などの中動物を使用し検討する。 (2)(1)の結果に基づき臨床症例を蓄積しデータを整理、発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため次年度使用額が生じた。 実験用動物、試薬、電極試作のために物品費、そのほか、成果発表旅費、プレパラート作成、論文投稿費用として使用する予定である。次年度使用額については物品費、成果発表旅費に充てる。
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