2012 Fiscal Year Research-status Report
腎結石防御における熱受容体(TRPV1)作動薬の抗アポトーシス効果とその臨床応用
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24791666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小林 隆宏 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90534743)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 尿路結石 / TRPV1 / 抗酸化ストレス / 抗アポトーシス |
Research Abstract |
1.腎結石形成モデル動物に対するTRPV1作動薬の投与と結石予防効果の検証 8週齢雄マウス(C57BL/6J)に対し、シュウ酸前駆物質であるグリオキシル酸を連日腹腔内投与を行い、腎結石モデルを作成した。腎組織は、(1)結石形成・免疫組織化学用に4%パラフォルムアルデヒド固定よりパラフィン包埋ブロックの作成、(2)RNA抽出用にRNAlater保存後、-80℃保存、(3)蛋白抽出用に組織を液体窒素から-80℃保存 (4)透過型電子顕微鏡観察用に一部のマウスにおいて、PBS希釈2.5%グルタールアルデヒドをPERISRAR Pumpを用いて左心室から環流固定し腎を採取した。パラフィンブロックより4μm切片を作成し、偏光顕微鏡による腎結晶の形態学的観察を行い、腎シュウ酸カルシウム結石が皮髄境界部を中心に扇形に形成されているのを確認した。続いて結石形成像をscanし、画像解析ソフトImage Pro Plusによって、結石形成量を定量化する手法を確立した。また組織採取24時間前より、各マウスは代謝ケージ内で飼育し、24時間蓄尿を採取し、保存した。本年はTRPV1作動薬の投与には至らなかった。 2.TRPV1作動薬投与による関連遺伝子の発現変化と腎尿細管細胞の微細構造変化の観察 1.で採取したRNAlater保存の腎組織よりtotal RNA抽出およびcDNA合成を行い、定量PCR (TaqMan assay)によって腎結石関連遺伝子オステオポンチン(OPN), 酸化ストレス関連遺伝子superoxide dismutase (SOD), ミトコンドリア傷害によるアポトーシス関連遺伝子tumor necrosis factor (TNF), Caspase 3の発現解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスへのシュウ酸カルシウム結晶形成と定量方法を確立できた。現在順次検体を保存し、次への検討へ移る。
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Strategy for Future Research Activity |
1.腎結石形成モデル動物に対するTRPV1作動薬の投与と結石予防効果の検証 マウス結石モデルの結石定量化、遺伝子検索プロトコールがほぼ確立したため、TRPV1作動薬の投与を行う。TRPV1作動薬としては、8-methyl-N-vanillyl-6-nonenamide (Capsicine; Cp)を用い、0.1mg/kg 連日皮下注射と0.3mg/kg連日皮下注射を予定しているが、脂肪マウスが多い場合や効果が不十分な場合は、投与量の変更も考慮する。採取した腎切片から結石形成量を定量化し、群間における結石形成量をMann-Whitney U testにて有意差検定を行う。回収尿から、尿量・pHを測定すると共に、結石関連無機物質である尿中カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、シュウ酸、クエン酸を測定する。 2.TRPV1作動薬投与による関連遺伝子の発現変化と腎尿細管細胞の微細構造変化の観察 1.で採取したRNAlater保存の腎組織よりtotal RNA抽出およびcDNA合成を行い、定量PCR (TaqMan assay)によってOPN, SOD, TNF, Caspase 3、およびTRPV1シグナル経路上の関連因子であるカルシトニン遺伝子関連蛋白(CGRP)およびInsulin like growth factor-1 (IGF-1)の発現定量を行う。凍結組織より、同遺伝子のWestern Blottingを行う。さらに免疫染色によって同遺伝子の発現局在を観察する。一方、透過型電子顕微鏡によって細胞傷害で生じるミトコンドリアを含めた細胞内オルガネラの構造変化を観察することによって、抗アポトーシス効果を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス結石モデルの結石定量化、遺伝子検索プロトコールがほぼ確立したため、TRPV1作動薬の投与を行い、実際のデータ比較に入る。その際の検体保存試薬(4%PFA, RNA-later)、パラフィン切片作成料(外注)、RNA・蛋白抽出試薬が必要となる。また関連遺伝子発現定量のため、OPN, SOD, TNF, Caspase 3、CGRP, IGF-1に関するTaqManプローブと抗体が必要である。また透過型電子顕微鏡の組織準備のため、準備試薬以外にダイヤモンドカッターなどの消耗品が必要となる予定である。
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Research Products
(5 results)