2013 Fiscal Year Annual Research Report
Tr1誘導スギ花粉エピトープの同定によるスギ花粉症の根治療法に向けた基盤研究
Project/Area Number |
24791780
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野田 洋平 岡山大学, 大学病院, 助教 (00587404)
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Keywords | スギ花粉症 / 免疫寛容 / 制御性T細胞 / IL-10 / LAG-3 |
Research Abstract |
スギ花粉症は有病率が25%を超える国民病であり、国民のQOLや労働生産性に多大な障害を与えている。従ってスギ花粉症に対する感作および発症の予防法、ならびに根治的治療法の確立は急務である。スギ花粉症の根治はスギ花粉に対するアレルギー応答を欠如させる、すなわち免疫寛容を誘導することである。免疫寛容にはT細胞が中心的に関与する。T細胞にはアレルギーの成立や増悪に関わるTh2細胞など多くのサブセットがあるが、免疫寛容に関わるT細胞としてはTreg細胞やTr1細胞などがある。本研究の目的は、スギ花粉アレルゲンのなかでTr1細胞が認識するペプチド部分、すなわちTr1誘導スギ花粉エピトープを網羅的に同定することである。まず健常人のCry j 1に対する応答性をIL-10産生能を指標として検討した。健常人から採血を行い、比重遠心法にて末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。健常人由来PBMCをCry j 1にて刺激し、培養上清中のIL-10をELISAにて測定した。また刺激後のCD4陽性細胞が発現するIL-10をフローサイトメーターにて観察した。弱いながらも培養上清中にIL-10の産生が認められた。一方、健常人においてはCry j 1刺激にてCD4陽性細胞におけるIL-10発現が誘導されることも明らかとなったさらにCry j 1のオーバーラッピングペプチドを作製した。Cry j 1のアミノ酸配列を基に、N末端より15アミノ酸からなるオーバーラッピングペプチドを計45種合成した。オーバーラッピングペプチドに対する健常人由来PBMCのIL-10産生を検討したが、明らかな誘導ペプチドは同定できなかった。最近、Tr1は細胞はLAG-3およびCD?を共発現することが報告された。そこで健常人由来のPBMCがCry j 1刺激によりLAG-3およびCD?を発現することを検討した。その結果、健常人由来のPBMCではCry j 1刺激によりLAG-3陽性CD4陽性分画の陽性比率が亢進することを確認した。
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