2013 Fiscal Year Research-status Report
7テスラMRIによるマウス内リンパ水腫の観察および分子生物学的解析
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24791813
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 学 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60386969)
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Keywords | 内リンパ水腫 / MRI |
Research Abstract |
研究の全体構想:メニエール病は繰り返すめまいが出現し、患者のADLを著しく下げている。メニエール病の本体は内リンパ水腫であるが、精神的・肉体的疲労、ストレス、睡眠不足などが誘因となり増悪する。なぜリンパ水腫になるか、またなぜ増悪するのかなどの詳細については未だ不明である。本研究では内リンパ水腫モデルマウスを用い、7テスラMRIにて内耳を可視化し、同一個体での内リンパ水腫の変化を経時的に観察することでメニエール病に対する病因論的変化を解明する。 本研究の具体的な目的:①7テスラのMRIによる内リンパ水腫モデルマウス内耳の可視化を行う。②利尿剤であるイソソルビドを投与し内リンパ水腫の変化を経時的に観察する。③プロテオミクスを用い、メニエール病の機序となりうる内耳タンパク質を網羅的に解析する。 平成25年度は、内リンパ水腫モデルマウスであるPhexHyp-Duk/Yマウスに対し鼓室内にガドリニウムを投与し、7テスラMRIを用いて内耳を撮影した。コントロールであるC57BL/6Jマウスと比較し内リンパ水腫を確認した。画像解析は聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教室にある解析ソフトTopspinおよびParaVisonを使用した。 また、PhexHyp-Duk/Yマウスの内リンパ水腫を病理学的にも確認した。病理切片作製に関しては聖マリアンナ医科大学にて施行した。PhexHyp-Duk/Yマウスの個体数を増やし個体差があるか確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内リンパ水腫モデルマウスであるPhexHyp-Duk/Yマウスの繁殖が難しく、実験に必要なnが確保できていない。そのため現在他施設に委託して繁殖中である。
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Strategy for Future Research Activity |
PhexHyp-Duk/Yマウスに対し、利尿剤であるイソソルビドを経口投与し同一個体における経時的な内リンパ水腫の変化を7テスラMRIを用いて観察する。イソソルビドはメニエール病の治療薬であるため内リンパ水腫の改善が予想される。 平行してプロテオーム解析を行う。この実験系は聖マリアンナ医科大学設備(耳鼻咽喉科学教室、生化学教室)を使用し施行する。 PhexHyp-Duk/Yマウスのイソソルビド内服群で内リンパ水腫を確認できた個体に対し非内服群およびC57BL/6Jマウスをコントロールとし、それぞれの内耳タンパク質を抽出する。抽出したタンパク質をIPGstripに膨潤し、等電点電気泳動を行いSDS-PAGEにて二次元目電気泳動を行い蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システム(2D DIGE)を用いスポットの発現を確認する。コントロールと比較しタンパク質発現量の異なるスポット をゲルより切り出し、Trypsinにてゲル内消化し、MALDI-TOF mass spectrometerにて質量分析を行う。質量分析器によって得られたデータを解析ソフトMascot (Matrix Science Ltd.)を用いNCBI protein データベースより検索しタンパク質の同定を行う。 これまでの研究成果を第73回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会にてシンポジストとして発表予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月の病理切片作成および遺伝子PCR委託のために使用予定であったが、PhexHyp-Duk/Yマウスが死んだため作成できなかった。 翌年度のPhexHyp-Duk/Yマウスの病理切片作成および遺伝子PCR委託用の経費に持ち越し使用する。
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