2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791815
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
任 智美 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00599483)
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Keywords | 鼓索神経 / 舌神経 / 舌知覚 / 中耳手術 / 舌痛症 |
Research Abstract |
中耳手術の際に鼓索神経が障害されやすく、味覚障害が術後に起こることは広く知られている。味覚障害と同時に舌の痺れを訴えることがあり、鼓索神経と併走する舌神経の影響と考えられているが舌神経機能を評価する方法は統一されておらず、報告も少ない。今回、当研究において中耳手術後の舌知覚変化を電気刺激検査、モノフィラメント、ディスクリミネータを使用して測定した。電気刺激検査とディスクリミネータにおいて術後に有意な閾値上昇がみられ、障害程度が最も大きい鼓索神経切断群で最も閾値は上昇していた結果となった。舌知覚評価において前者二つの方法は舌神経機能評価に有用であると考えられた。モノフィラメントでは有意な差がでず、最小刺激でも認知できる例が多く、微細な舌知覚変化の評価には適さないと判断した。現在まで鼓索神経が障害されると併走する舌神経は閾値が低下するといった推測もあったが、当研究では明らかな上昇であり、中耳術後の舌痺れは舌神経閾値上昇によるものと推測される。上記を論文として発表した。現在はこれらの症例を追跡し、術後の舌神経機能の回復を症状の変化とともに観察している。現段階では術後の三叉神経機能の回復は味覚と比較して早くに回復する傾向にあり、特に小児ではその傾向が強いことがみられている。 現在、舌痛症の病態については明らかにされておらず、神経機能を評価した論文は少ない。閾値の変化についての見解は様々である。当研究では舌痛症に対する舌神経閾値測定も継続しており、有意に閾値上昇がみられていることを学会発表している。現在は舌痛症の治療後閾値を追跡しており、病態解明に役立てたい。今後これらのことを学会発表、論文発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中耳手術後の変化について論文発表でき、舌知覚神経評価法として電気刺激法とディスクリミネータの二つの方法が有用であることが判明したため、予定通り、経過を追跡、その他の疾患へ適用することを計画している。しかし、使用していたディスクリミネータが販売中止となることとなり、異なるメーカーのもので対応しなくてはならなくなったため、同等の結果が得られるかを検討しなくてはならなくなった。その結果によっては今後の研究が遅れてしまう可能性も否定できない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、術後や治療後の経過を追跡するとともに年齢による差なども検討していく予定である。上記のように研究機器が変更される可能性があり、それについて検査結果が統一されるかを検討する必要がある。また舌の乳頭の状態なども同時に観察し、変化を追跡していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究で使用していたディスクリミネータが販売中止となったため、それを代替する新しい機器が必要となった。代替機器について検討し、購入する予定である。またモノフィラメントが舌知覚閾値測定に有用ではなかったため、中止とした。今後、長期的観察として鼓索神経が支配している舌乳頭形態や血管走行などを評価することを予定している。 ディスクリミネータの代替機器、舌乳頭観察、保存、解析できる機器を購入予定とした。また追跡調査をしているため現在までに使用していた消耗品の新たな購入が必要である。
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Research Products
(5 results)