2013 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症・抗酸化作用による正常眼圧緑内障モデル動物の網膜神経節細胞死抑制
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24791827
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新田 卓也 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (90507576)
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Keywords | 神経保護 |
Research Abstract |
グルタミントランスポーターの1つであるglutamate/aspartate transpoter(GLAST)の機能異常をもつ遺伝子欠損マウスでは、眼圧が上昇することなく、グルタミン酸濃度上層による網膜神経節細胞死が誘導されることが明らかにされてる。この遺伝子異常はヒト正常眼圧緑内障患者にもみられることから、正常眼圧緑内障モデルの一つと考えられている。 緑内障の進行の原因として眼内の酸化ストレスの亢進が疑われており、ここを治療ターゲットとすることにより、眼圧に依存しない新しい緑内障治療を確立できる可能性が考えられる。 アスタキサンチン(AST)は、サプリメントとしてすでに安全性が確立されている天然由来のカルチノイドであるが、強い抗酸化作用と抗炎症作用を持つことが知られている。 我々は、この薬剤を正常眼圧緑内障モデル動物であるGLASTノックアウトマウスに投与してその慢性に進行する網膜神経細胞死に対する抑制効果を明らかにしつつある。AST、10mg/kg/day投与群、30mg/kg/day投与群、60mg/kg/day投与群でいずれも、非投与群に対して統計学的に有意な細胞死抑制効果を示し、その効果は容量依存的に増加した。AST60mg/kg/dayをGLASTノックアウトマウスに2週間連続投与して、網膜神経節細胞をカウントしたところ、非投与群に比較して約20%の細胞死抑制効果があることを確認している。また実際酸化ストレスマーカーを調べることで、網膜内の酸化ストレスがAST投与によって軽減されてることも明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期待通りAST投与により、グルタミン毒性による網膜神経節細胞死が抑制されている。 動物の繁殖も順調である。 同じモデル動物を使用した研究が昨年度に終了し、こちらの研修に集中できるようになった。 アスタキサンチンが、藻から抽出できるようになり、薬剤の値段が下がった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗は順調である。酸化ストレスの関与について、さらに動物のnを増やしていく予定で、さらに分子メカニズムを明らかにするため、NK-kappaBの核内移行についても検討を行っていく予定である。具体的にはIkappaBとリン酸化 IkappaBのウエスタンを行って証明することを検討している。なお研究の詳細は本年度開催のアスタキサンチン研究会で明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外の学会への参加を取りやめたため、旅費がそのぶん余っている。動物の維持費については、他のプロジェクトと今年度は共通の部分があったので、その分の金額が余った。 動物用の麻酔器の購入などにその差額を使用する予定である。
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