2012 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞ニッチにおけるNrf2を介した生体防御機構の役割
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24791851
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 竜平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70535278)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Nrf2 / 角膜上皮 / 角膜上皮幹細胞 / 創傷治癒 / 細胞遊走 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
Nrf2は生体防御酵素群を活性化させる転写因子である。Nrf2遺伝子破壊(KO)マウスは、外来異物や酸化ストレスに対する感受性の亢進、炎症・免疫系の異常、神経変性に対する感受性の亢進などが引き起こされる。本年度の目的としては、角膜上皮再生時におけるNrf2を介した酸化ストレス防御機構の関与を明らかにすることを目的とした。RT-PCR法により野生型 ICR (WT)およびNrf2 KOマウスの角膜上皮におけるNrf2発現を検証した。角膜上皮創傷モデルの作製には、全身麻酔を施したWTおよびNrf2 KOマウス角膜上に、n-ヘプタタノールに浸漬した脱脂綿を静置し、上皮層を剥離した。上皮剥離後0-72時間にフルオレセイン点眼液を点眼した後、前眼部写真を撮影し、角膜上皮の創傷治癒面積を定量した。さらに各時間において組織切片の作製を行い、HE染色を行った。RT-PCR解析の結果、Nrf2はWTマウス角膜上皮に発現しており、一方でNrf2 KOマウスでは発現が認められなかった。角膜上皮創傷治癒実験の結果、WTマウスでの創傷治癒は約48時間で完全に治癒していたのに対してNrf2 KOマウスでは創傷24‐48時間でWTと比較して有意に創傷治癒が遅延していた(p<0.01)。興味深いことに、Nrf2 KOマウスでは、創傷後24-36時間に一過的に増殖細胞数が減少し、48時間以降はWTと同等に回復していた。Nrf2を介した酸化ストレス防御機構は角膜上皮の再生過程に関与していることが示されたため、その作用機序について現在解析を進めている。これまでのin vitro評価系の検討結果より、少なくともNrf2は細胞遊走に影響を与えていることを示した。現在までの研究成果について、2013年4月の日本眼科学会および2013年5月の米国眼科学会においても演題が採択され、その発表が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度における目標としては、Nrf2 KOマウスを用いた角膜上皮再生時におけるNrf2の役割を解明することである。本年度においては、Nrf2 KOマウスの角膜上皮再生過程のタイムコースを作成し、その詳細な治癒過程を解析した。その結果、WTのNrf2は角膜上皮再生過程において活性化していること(核内移行)、さらに、KOマウスにおいては増殖細胞数の一過的な低下(24-36h)が起きることを見出した。さらには、in vitro評価系を用いたNrf2の細胞遊走能能への影響を調べたところ、Nrf2のノックダウンによって角膜上皮の細胞遊走能が有意に低下することを示し、Nrf2の角膜上皮再生における役割の一部を解明することに成功した。一方で、Nrf2 KOマウス由来の角膜上皮のin vitroでの培養が困難であり、安定培養ができないことが判明したため、若干の方法変更を余議なくされたものの、全体としては概ね目標を達成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は主に角膜上皮再生時の角膜上皮層全体におけるNrf2の役割を検討してきたが、次年度については主に角膜上皮幹細胞におけるNrf2の役割について調べる。前述のように、Nrf2 KOマウス由来の角膜上皮細胞の安定培養が出来ないことが判明したため、角膜上皮細胞株や初代培養角膜上皮細胞を用いたsiRNAによるノックダウン実験を行う予定である。本年度に引き続き、細胞遊走能への影響を検討し、さらに細胞増殖能に対するNrf2 ノックダウンの影響についても検討を行う予定である。同様の条件で、上皮幹細胞の指標となるコロニー形成能や幹細胞マーカー発現への影響についても検討し、上皮幹細胞機能におけるNrf2の役割を調べる。また、in vivo角膜上皮および上皮幹細胞の存在する輪部上皮におけるNrf2活性化状態について、Nrf2の核内移行(免疫染色)を指標として検討を行い、幹細胞ニッチにおけるNrf2の役割の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に次年度においては、主にin vitroの実験に用いる研究用試薬(siRNA, TaqMan probe、培養液、培養基材、サイトカイン、阻害剤、Nrf2活性化化合物、免疫染色用抗体など)および実験動物(マウス・ウサギ)の購入費用、飼育維持費用などに使用予定である。また本研究成果を発表するための、学会参加費用および論文校閲・掲載費などにも充てる予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Validation of Na,K-ATPase pump function in corneal endothelial cells for corneal regenerative medicine.2013
Author(s)
Hato S, Higa K, Inagaki E,Yoshida S, Kimura E, Hayashi R, Tsujikawa M, Tsubota K, Nishida K, Shimmura S.
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Journal Title
Tissue Engineering part A
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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