2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791961
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50423421)
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Keywords | レンサ球菌 / 上皮バリア / 細胞間隙 |
Research Abstract |
咽頭や皮膚を初発感染部位とするA群レンサ球菌 (group A Streptococcus; GAS) は,物理バリアである上皮細胞層を突破した後,組織内への侵入と増殖により侵襲性疾患を惹き起こす.これまでに,溶血毒素の一つであるStreptolysin S (SLS) の産生に依存して上皮細胞間の接着分子であるオクルディンやE-カドヘリンが分解され,GASが上皮バリアを突破することを明らかにした.本研究では,SLSが誘導する宿主細胞間相互作用に着目し,GASの上皮バリア突破機構に宿主プロテアーゼが関与するか否かを検討した. トランスウェルシステムに至適なヒト大腸粘膜上皮細胞Caco-2を用いて,GASの上皮細胞バリア通過能解析のin vitroモデルを構築した.各種阻害剤で処理した上皮バリアモデルに,劇症型GAS感染症由来のNIH35株 (M28型),およびそのSLS欠失株を感染させ,GASの上皮バリア通過能を評価した.野生株の上皮バリア通過能および細胞間結合タンパク分解能は,カルパイン阻害剤の添加により抑制された.また,野生株感染細胞では,GAS感染2 hまでに細胞内カルシウムイオン濃度が著しく上昇したが,SLS欠失株感染細胞ではこの上昇が抑制された.さらに,GASの上皮バリア通過能は,細胞内カルシウム動態阻害剤であるBAPTA-AMの添加により低下した.次に,GAS感染が誘導する宿主細胞間相互作用を共焦点レーザー顕微鏡で解析した.興味深いことに,野生株感染細胞では,細胞内プロテアーゼであるカルパインの細胞間隙部位における局在が認められ,オクルディンおよびE-カドヘリンの分解も観察された. 以上の結果から,SLSは宿主上皮細胞にカルシウムイオン依存的なカルパインの活性化を誘導し,上皮バリアを破綻させることが示唆された.
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Research Products
(17 results)