2012 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞のメカノセンサーを介したJNK・p38グナルによる骨免疫制御機構の解明
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24792059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 裕之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (10547277)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メカノトランスダクション / ストレス応答MAPキナーゼ / JNK / p38 / 骨代謝 / 骨免疫学 |
Research Abstract |
適切なメカニカルストレス負荷は骨形成に寄与するが、脱負荷および過剰負荷は骨の吸収をもたらす。この骨吸収に際しては骨の構成細胞の90%以上を占める骨細胞によるreceptor activator of nuclear factor kappa B ligand(RANKL)の産生が重要な役割を果たすことが報告される一方、骨芽細胞の挙動を制御するシグナル伝達機構には不明な点が多い。本研究では骨芽細胞MC3T3-E1への伸展刺激系を用いて、メカニカルストレスが骨芽細胞の挙動に与える影響について検討を行った。その結果、骨芽細胞のERK経路はごく弱い伸展刺激によっても活性化され、骨芽細胞の分化を正に制御している ことが明らかになった。一方、これまでに申請者は、メカニカルストレスにより活性化される骨芽細胞のJNKおよびp38はInterleukin-6 (IL-6)、fibroblast inducible 14(Fn14)、および monocyte chemoattractant protein-3(MCP-3)の発現に関与することを見出している。本研究ではさらに、MCP-3におけるN末端のshort peptideは22-23位における切断とこれに引き続く分泌(Shedding)に必須であること、およびMC3T3-E1はMCP-3受容体であるc-c chemokine receptor (CCR)1およびCCR2をmRNAレベルで発現していない ことを明らかにした。現在、骨芽細胞のMAPキナーゼによる、異なる強さのメカニカルストレスに対する異なる生体応答の制御について引き続き検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JNK・p38 MAPキナーゼに加え、ERKの機能解析についていくつかの検討を行い、結果を得ることが出来た。その結果、「適正負荷により骨形成が、脱負荷と過負荷では骨吸収が起こる」ことのうち、メカニカルストレスの負荷が関与する部分、すなわち「適正負荷および過負荷」における生体応答を培養細胞にて部分的に再現できることが明らかとなった。これにより、「小さいメカニカルストレスに対してはERKを介して骨芽細胞が分化促進される」こと、および「大きなメカニカルストレスにより活性化されるJNKおよびp38は分化に抑制的に機能する」こと、さらに「この時のJNKおよびp38の活性化はサイトカイン関連遺伝子の発現上昇に寄与している」ことを基調として、骨芽細胞のMAPキナーゼが異なる強さのメカニカルストレスに対する異なる骨の生体応答をそのキナーゼ活性依存的に制御していることが明らかになりつつある。また、本研究の成果について現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたように本研究は論文化に向けた最終段階に入っている。各論となる詳細部分については十分なデータが蓄積されており問題はないが、各論間を連結するための材料、つまり論文全体のストーリー性については論文査読者からの新たな実験が要求される可能性がある。また、これまでに得られた実験データについて、学会発表において多くの研究者と情報・意見交換の必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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