2012 Fiscal Year Research-status Report
迅速骨結合性、高強度骨結合性、歯肉上皮接着性を併せ持つチタンインプラントの創製
Project/Area Number |
24792122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
山添 淳一 福岡歯科大学, 歯学部, その他 (30452717)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | チタン合金 / 水熱処理 / 骨伝導性 / 歯科インプラント |
Research Abstract |
カルシウム修飾チタンの機械的強度について評価を行った。カルシウム修飾チタン (Ti) 及びチタン合金 、未処理のチタン及びチタン合金の平板を万能試験機により引張り強さを測定した。白金の添加やCa修飾が、チタンおよびチタン合金の機械的強度に及ぼす影響を調べた。結果として、カルシウム水熱処理を行っても処理前と機械的強度に差はなかった。これによりカルシウム水熱処理がインプラント体の破折の原因にはならないことが示された。 骨髄間葉系細胞を用いた細胞接着性、細胞増殖性および分化能を評価した。ラットの大腿骨を取り出し、骨周囲の軟組織を除去後、大腿骨の両端を切断し、骨髄細胞を採取した。α-MEM中で初代培養後、浮遊細胞を除いた細胞を、試料の上に播種した。細胞接着性に関しては培養 7 時間後の接着細胞数を顕微鏡にて測定した。細胞増殖性に関しては3, 6, 9 日後の細胞数を顕微鏡にて測定した。その結果、すべての項目において、カルシウム修飾材料の方が優れていた。 実験動物を用いて組織学的検討を行った。実験動物にペントバルビタールによる全身麻酔を行った後、切開し、脛骨にラウンドバーを用いて骨髄腔まで貫通後、No.80、No.90、No100のKファイルにて規格化された骨欠損を形成する。直径 1 mm×長さ2 mm の円柱状試料を埋入した。この際、右足に未処理の試料を埋入し、左足にCaCl2処理を施した試料を埋入した。1, 2, 4 週間経過後、試料を周辺の組織とともに取り出し、固定後、マイクロX線CTを用いて骨伝導性を評価した。試料をウルトラミクロトームで切り出し、さらにトルイジンブルー染色後、非脱灰組織標本を作製する。試料と周辺骨との界面をデジタル処理機能付き光学顕微鏡により観察する。その結果、カルシウム修飾した材料は飛躍的に接触率が向上し、骨との結合速度も速くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カルシウム修飾したチタンインプラントを骨内に埋入した際に早期に骨と結合し、かつ結合強度が高いかどうかを検討し、さらに、歯肉上皮と高度に接着し、インプラント周囲からの外的因子の侵入を防ぐかどうかを検討する。これによりインプラント治療期間の短縮ができ、感染に対して抵抗性の強いチタンインプラント材料の創製を目的とする。24年度研究計画では、機械的強度の評価、骨髄間葉系細胞の細胞接着性と細胞増殖性、分化能を評価する予定であったが、分化能の評価が計画通りに進んでいないことから予定より若干遅れていると思われる。実験動物を用いた組織学的検討は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験方法としては変更はなく、初期分化マーカーとしてタイプ I コラーゲン、中期分化マーカーとしてはアルカリフォスファターゼ活性、後期分化マーカーとしてはオステオカルシン発現量を測定する。また、9, 15, 21日後にアリザリンレッド染色を行いBone noduleの形成量を定量化する。対照には未修飾材料を用いる。 25年度は口腔粘膜のカルシウム修飾チタンへの接着性の評価を行う。上皮組織から酵素消化法により細胞を直接採取する。まず、生後4日齢のWistar系ラットの口腔粘膜を採取し、5000IU/5mlディスパーゼ含有Mg2+、Ca2+不含有0..1M PBSに4℃、12時間浸漬する。その後、培地中で口腔粘膜上皮と粘膜下層を分離する。分離した上皮の基底細胞側を10回ピペッティングし、遊離した細胞を含む上清を採取。900rpmで10分間遠心し、口腔上皮細胞を集積させる。細胞ペレットを再懸濁した後、鏡面研磨を施した直径30mm、厚さ1mmのチタンプレートに5×105個/mlで播種し、1週間培養する。 培養細胞を培養液で2回洗浄し、遊離細胞を除去した後0.01M PBS中で37℃、50rpmにて5分、3回振盪する。その後、25% trypsinおよび1mM EDTAを用いて試料より細胞を剥離し、遠沈する。細胞ペレットを懸濁し、血球計測版で細胞数を算出する。これにより無処理チタンとカルシウム修飾チタンの比較をし、細胞の接着力の評価をする。 また、ウェスタンブロット法にてラミニン5の発現量の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度終期には研究施設の異動が決まり十分な実験時間をもうけることができず、骨髄間葉系細胞の分化能に関する実験が不十分であった。そのため研究費用を次年度に繰り越すことになった。繰り越した研究費は分化能評価の実験費用に充てる。特に免疫染色のための抗体などを購入する費用にする。 25年度予定金額は予定通り執行する。
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