2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792226
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
青田 桂子 徳島大学, 大学病院, 助教 (70437391)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 唾液腺機能再生医療 |
Research Abstract |
TNF-αは炎症反応あるいは免疫反応に関与するサイトカインであり、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群(SS)の唾液腺組織破壊に関与していることがすでに明らかにされている。本年度は、抗TNF製剤のヒト唾液腺腺房細胞に及ぼす影響について解析した。 【方法と結果】 1.ヒト唾液腺腺房細胞の増殖能に及ぼす抗TNF製剤の影響:我々がすでに樹立した不死化正常ヒト唾液腺腺房細胞(NS-SV-AC)株を用いて、種々の濃度の抗TNF製剤(etanercept、adalimumab)にて処理し、MTT法にて細胞増殖能を解析した。その結果、抗TNF製剤はヒト唾液腺腺房細胞の増殖能に影響を及ぼさないことが判明した。 2.TNF-α刺激唾液腺腺房細胞のMMP-9産生および酵素活性に及ぼす抗TNF製剤の影響:etanerceptあるいはadalimumab単独、またはTNF-α(20 ng/ml)と抗TNF製剤共存下にNS-SV-AC細胞を培養した後、MMP-9発現をreal-time PCR法およびELASA法にて解析し、MMP-9酵素活性をGelatin zymography法にて解析した。その結果、抗TNF製剤は、TNF-α刺激唾液腺腺房細胞のMMP-9 mRNAおよびMMP-9蛋白発現を抑制し、MMP-9酵素活性も抑制することが明らかとなった。 3. TNF-α刺激唾液腺腺房細胞のアポトーシスに及ぼす抗TNF製剤の影響:etanerceptあるいはadalimumab単独、またはTNF-α(20 ng/ml)と抗TNF製剤共存下にNS-SV-AC細胞を培養した後、NS-SV-AC細胞のアポトーシスをDNA fragmentation assayにて解析した。その結果、抗TNF製剤は、TNF-α刺激唾液腺腺房細胞のアポトーシスを抑制することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展しているが、当初の研究予定では、抗TNF-α製剤はinfliximabとetanerceptを用いる予定であった。しかし、実際のRAに対する治療においては、infliximabは耐性ができるためMTXとの併用が必要な薬剤であった。唾液腺機能再生医療においてMTXを併用することはリスクの方が大きいと考え、infliximabのかわりにadalimumabを用いた。また、TNF-α刺激唾液腺細胞のAQP5発現に及ぼす抗TNF-α製剤の影響も検討する予定であったが、いろいろ抗体を変え蛋白レベルで検出しようとしたが、不可能であったためAQP5の検討は断念した。
|
Strategy for Future Research Activity |
【加齢モデルマウスにおけるetanerceptとadalimumabの治療効果の検討】 C57BL/6CrSIcマウスは自然発生腫瘍が少なく、加齢研究で使用されているモデルマウスである。そこで、以下の投与計画に従ってin vivoでの研究を行う。加齢モデルマウスの腹腔内に生後4週後および生後24週後から3回/週の割合でetanerceptあるいはadalimumabの投与を行う。なおコントロールとして生食投与群(n=5)を置く。それぞれ10週齢、30週齢まで投与を行い、この間1週間毎に唾液分泌量と体重の測定を行う。そして10週および30週の時点ですべてのマウスを屠殺し、唾液腺と涙腺組織を摘出し、1/3を組織染色用に、1/3を蛋白抽出用に、そして残り1/3をRNA用抽出用に保存する。 【etanerceptとadalimumabの治療効果の検討】 シェーグレン症候群モデルマウスは、雌NFS/sldマウスを生後3日目に胸腺を摘出することにより、生後4週目から一次性シェーグレン症候群に極めて類似した病変を唾液腺と涙腺に発症することが明らかにされている。そこで以下の投与計画に従ってin vivoでの研究を行う。胸腺摘出NFS/sldマウスの腹腔内に生後3週後(n=10)、4週後(n=10)、8週後(n=10)、10週後(n=10)から週3回の割合でetanerceptあるいはadalimumabの投与を開始する。なおコントロールとして生食投与群(n=5)をおく。そして生後11週の時点ですべてのマウスの屠殺を行い、加齢モデルマウスで述べた方法と同様に行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰越額は、in vivoの実験に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)