2013 Fiscal Year Research-status Report
内臓感覚賦活化による口腔生理機能の再生ー脳腸相関モデルとPETイメージング解析ー
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24792299
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
植田 紘貴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10583445)
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Keywords | 唾液分泌 / 自律神経 / 胃酸分泌抑制剤 / 迷走神経刺激 / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究は、末梢から中枢への求心性情報(知覚)による唾液分泌制御のメカニズムを明らかにすることを目的とする。本課題では顎口腔機能に対する内臓感覚が唾液分泌にどのような影響を与えるか、モデル動物を用いて検証を行った。本年度の結果は下記の3点に要約される。 (1)上部消化管の内臓感覚を支配する迷走神経求心路の実験的刺激は、刺激頻度に応じて唾液分泌を有意に増加した。 (2)胃酸分泌抑制剤であるnizatidineの中枢投与は、迷走神経刺激により誘発された唾液分泌を有意に促進した。 (3)摂食行動と唾液分泌の関連については、摂食行動を促進すると考えられているペプチドの一部に、唾液分泌を抑制する作用を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内臓感覚を支配する迷走神経の刺激と摂食関連ペプチドの脳室内投与が唾液分泌を含む顎口腔機能に及ぼす影響とメカニズムについて下記の成果が得られているため。 (1)上部消化管の内臓感覚を支配する迷走神経求心路の実験的刺激は、刺激頻度に応じて唾液分泌を有意に増加した。 (2)胃酸分泌抑制剤であるnizatidineの中枢投与は、迷走神経刺激により誘発された唾液分泌を有意に促進した。 (3)摂食行動と唾液分泌の関連については、摂食行動を促進すると考えられているペプチドの一部に、唾液分泌を抑制する作用を有することが示唆された。さらに、電気生理学的手法を用いたこれらの機序の検証についても着手しており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、電気生理学的手法(新鮮脳スライスパッチクランプ法)を用いて、唾液分泌を中枢性につかさどる上唾液核ニューロンの電気的神経活動の記録を行う。前年度で得られた胃酸分泌抑制剤ニザチジンがどのような機序で唾液分泌を促進するのか、上唾液核ニューロンに着目し、ニューロンレベルで検証することが目的である。さらに、前年度に得られた唾液分泌に抑制的に作用する摂食関連ペプチドに対して、同様に上唾液核ニューロンから神経応答を記録し、抑制的な作用の有無について明らかにする計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であった機器を共同利用施設で使用することが可能になったため、差額を生じた。 パッチクランプ法の遂行に必要な試薬や実験動物等の購入に充てる計画である。
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Research Products
(8 results)