2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
石黒 一美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20508486)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周疾患 / Light Emitting Diode |
Research Abstract |
波長の違いにより口腔内におけるLight Emitting Diode(以下、LED)照射の効果が異なることが考えられるため、平成24年度は歯周病原性細菌の増殖抑制効果に焦点を当てた。これまで、いわゆる疑似白色LED(以下、白色LED)照射のP.gingivalis菌の増殖抑制効果について研究報告をしてきたが、まず白色LEDの2つのピーク波長に近い青色と緑色について検討した。その結果、青色LED照射の殺菌能の方が緑色LED照射に比べて高いこと、さらに青色LED照射よりも白色LED照射の方が殺菌能が高いことが示された。これは、弱いながらも緑色LED波長にも殺菌効果があることから、白色LED照射には青色と緑色の相乗効果が現れたものであると示唆している。 上記研究を進めている上で、LEDに関する高度な工学的知識ならびに、細胞や細菌研究においてより精密なLED照射ができる装置の開発が必要であると確信した。そのため、これらの研究協力が得られる機関との連携をはかることとし、LED照射装置の設計・作製を依頼し、装置を入手した。この装置により詳細なLED波長データや均一なLED照射が可能となり、今後のLED照射研究成果の精度を向上させることが可能となったことの意義は大きい。 完成したLED照射装置を用いて、今までの白色LED照射によるP.gingivalis菌の増殖抑制効果を検証し、さらに研究実施計画には記載していなかった光増感剤と白色LED照射とを組合わせたフォトダイナミックセラピーを歯周疾患の予防に取り入れることを提案した。そのため、白色LED波長と組合わせることでより効果的な光増感剤の検索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は多種の細菌や細胞を用いたin vitro研究を行うことを主な研究計画とした。LED波長は3種類を目標としていた。しかしながら、研究を進めていく上でLED照射の精度を上げるための装置の必要性を確信したため、その研究協力機関との連携、装置の開発を初年度に行うべき最重要課題とした。結果、研究目的の達成度としては、当初より遅れているが、今後のin vitro研究成果が期待できるものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したLED照射装置を用いてin vitro研究を進めていく。3波長のLEDでのみ研究を実施する予定であったが、より多波長のLEDを照射装置で使用可能とした。また、LED照射装置はコンタミネーションを避けるため、細胞研究用に同様のLED照射装置を入手することを検討している。 歯周病原細菌の増殖抑制能はP.gingivalis菌を基盤として他の細菌種にも効果があるか検討する。細胞に対する影響はヒト培養歯肉線維芽細胞にのみ検討する予定であったが、上皮細胞やメラニン色素産生細胞に対して検討するための準備を進めている。 白色LED照射によるフォトダイナミックセラピーに関しても注目度は高い。ヒト口腔内で使用するにあたっては、光感受性物質の安全性に十分配慮する必要がある。より効果的かつ安全性の高い光感受性物質を探索すると共に適正濃度も細菌と細胞の両面から検討して行きたいと考えてる。 LED照射の問題点としては発熱が取り上げられている。現在まで実施した照射条件では発熱は認められていないが、被験者協力の臨床研究はin vitroでの研究成果を元に口腔内で使用する条件を設定し照射時の温度測定を行った後に実施することとした。 波長の違いにより口腔内におけるLED照射の効果を検討する研究目的を達成するために、平成24年度の研究成果に基づきより綿密なin vitro研究と新たなLED照射による歯周疾患予防の可能性も視野に入れ、今後の研究計画を変更するとともに、臨床研究・応用に向けての安全性に配慮することが課題となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【次年度使用金額(A-B)が0円以上となった状況】 研究計画時には酸素分圧測定器を実験器機として購入することになっていた。しかし、初年度に購入すると、研究計画に記載したin vitro研究に必須となる研究試薬等の消耗品を購入することが困難となるた実験機器の購入を見合わせた。 【上記当該助成金を含めた平成25年度の使用計画】 平成24年度の研究成果の一部を日本レーザー歯学会誌(第24巻第2号)への論文投稿中である。受理された場合には論文投稿費が発生する。 in vitro研究計画と消耗品を以下に記載する。細菌の培養に必要な消耗品を購入すると共に、P.gingivalis菌以外の必要な細菌種の検討をしている。上皮細胞、メラニン色素産生細胞は購入を決定した。そのため、線維芽細胞も含め細胞培養に必要な消耗品、また、細胞への影響を検討するための試薬を購入する。フォトダイナミックセラピーで使用するための光感受性物質は探索している最中である。LED波長との組合せで効果的かどうか十分検討したうえで、現在研究で使用している物質以外に臨床応用への実現性の高い可能性が得られる物質であれば購入する予定である。 国内での学会発表・参加はディスカッションや新たな知識・情報を得るために大変参考になった。そのため、国際学会も含めた参加・発表を考えている。
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Research Products
(2 results)