2013 Fiscal Year Research-status Report
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24792368
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
石黒 一美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20508486)
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Keywords | 白色LED / 歯周疾患 |
Research Abstract |
LEDの波長の違いによる歯周病原性細菌の殺菌効果、ならびにヒト歯周組織由来培養細胞に対する影響を探索し、歯周疾患予防のためにLEDを臨床応用することを目的としている。昨年度、設計・製作したLED照射装置を用いて、照射条件の検討を進めている。歯周病原細菌のひとつであるPorphyromonas gingivalis(P.g菌)に対して、白色LEDの殺菌効果を示し、増感剤の検討を行なった学会報告に関しては、論文投稿し、受理・掲載された(日本レーザー歯会誌 2013;24(2):p68-71)。白色LEDは口腔内を明るく照らすことができ、小型・軽量化が進んでいることから、家庭で一般的に使用できる歯周疾患予防器具の開発を進めていくうえで意義があると考えられるため、今後も研究を発展させる。安全かつ効果的なLED照射を行うことが重要であるため、細菌に対する殺菌効果が得られる照射条件に基づいたヒト歯周組織由来培養細胞への影響についての検討も進めることとした。 一方、様々な種類のレーザー光による歯周病治療が実践されている中、LED光を用いた歯周疾患治療への期待も高まり、論文数も飛躍的に増加していることから、新たな報告の中には申請時に自身が検証すべきことに関して明らかとなることも少なくない。赤色、青色のLEDを用いた歯周病原細菌に対する殺菌効果などの研究報告がされたことから、今後はその再現実験を行うとともに、新たな着眼点や発想の転換が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
LEDに対する歯周疾患予防・治療への関心が申請時よりも高まっており、当初の研究目的・計画に関して、既に報告がなされていることが多数ある。そのため、既存の報告と同様の研究に関しては再現実験を行いながら、研究意義を高めるためには、新たな発想・着眼点を模索せざるを得ない。 申請時に行う予定でいた実際に人の歯周組織にLED光を照射する研究に関しては、学会発表、論文発表での質問、意見などに基づき、安全性を十分確認してから行うことがより重要視されていることが明らかとなった。そこで、臨床的な研究については倫理的な配慮から、基礎的なデータを収集した後に行うべきであるため、現在は行っていない。 また、当初使用していた正常ヒト歯肉由来線維芽細胞株(Gin-1)の販売中止となったため、患者の抜去歯から細胞を分離培養することとなった。 以上のことから、交付申請書に記載した研究計画とは異なる点が多数あるため、目的の達成度としては遅れていると考えるべきであるが、新たな研究の予備実験を同時に行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
以前はレーザー光を主体に歯周病原細菌や歯周組織由来培養細胞に関する基礎研究、臨床研究を行っていた研究グループがLED光照射による歯周疾患予防・治療へと研究テーマを移行しており、歯周病原細菌に対する青色と赤色波長の比較検討をした論文が報告された。当初の3色の単波長LEDでのみ研究を行う研究計画に記載した内容と重複している。そのため、高齢社会が進み介護現場等での口腔ケアを重視していく必要があるため、口腔内の視認性を高い白色LED照射を研究計画に加えることとした。 また、細菌、細胞といったin vitroで得られた結果を、すぐにヒト口腔内での臨床研究に移行する予定でいた。しかしながら、安全性に配慮した倫理的観点を学会発表、論文発表の際に指摘されることが多く、動物を用いたin vivoでの研究を行なったうえでヒトに応用すべきである。申請時には行っていなかったが、歯周疾患モデルラットを用いた他の研究テーマでの実験が進行しているため、LED照射研究も応用できるように研究計画を変更していく。 研究を効率よく進めるため、市販されている正常ヒト歯肉線維芽細胞株(Gin-1)を本研究では使用することにしていたが、昨年度から販売中止となったことは研究計画の変更を余儀なくされることとなった。そのため、患者の抜去歯から分離培養した歯肉線維芽細胞を使用するため、新たに本学倫理委員会の承認申請を行った。以前より、抜去歯からの歯肉線維芽細胞の手技は確立しているため、倫理委員会承認後に用いるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会への出張をしなかったこと。また、購入予定であった細胞株の販売が中止になったため、細胞培養に必要となるものが次年度以降に繰り越されたため。 新たなLED照射装置、本年度行うことができなかった細胞培養の費用に使用する。また、研究成果を発表するための準備を行う。
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Research Products
(2 results)