2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
東恩納 美樹 琉球大学, 医学部, 助教 (50589819)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療安全 / 転倒転落リスクアセスメント |
Research Abstract |
本研究の目的は、簡易転倒転落リスクアセスメントツールおよび転倒転落予防プログラムを開発することである。2012年度は下記を実施した。 1)【簡易転倒・転落リスクアセスメントツール(第1版)の作成】第一段階として2011年にA大学附属病院で実施した後ろ向きコホート研究の結果と国内外の文献レビューを基に簡易転倒・転落リスクアセスメントツール(第1版)を作成した。 2)【簡易転倒・転落リスクアセスメントツール(第1版)の信頼性・利便性の検証】簡易ツールの信頼性および構成項目の表現の明確さや利便性を明らかにすることを目的に評定者間一致性研究を実施した。方法:対象は、A大学附属病院の集中治療室および小児科病棟を除く13病棟に新規入院の15歳以上の患者とし、入院当日の患者1名に2名の看護師が独立して簡易ツールを用いてアセスメントを実施した。また、評価を行った看護師へ利便性についてアンケート調査した。結果:新規入院患者164名のうち114名を対象とした。評定者間一致性を示すPrevalence-adjusted and bias-adjusted kappa (PABAK)では、簡易ツールを構成する23項目のうち、20項目で0.81以上の“ほぼ完全な一致”、「座位・立位・歩行が不安定」は“十分な一致”、「頻回排尿」は“中程度の一致”、「夜間排泄」は“まずまずの一致”であった。利便性は、「評価しやすい」や「わかりやすい」を選択したものは約6割であった。評価者の自由記載では「認知機能の評価が難しい」というコメントが多かった。 3)【簡易転倒・転落リスクアセスメントツール(第2版)の作成】評定者間一致性および利便性の研究結果を基に、評定者間一致性および利便性を高めるためにA大学附属病院看護部と簡易転倒・転落リスクアセスメントツールの構成項目の再検討を行い、第2版を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究計画では、1) 簡易転倒・転落リスクアセスメントツールの作成、2)信頼性(評定者間一致性)の検証、3)信頼性が低かった場合の再検証、4)転倒転落予防プログラムの作成、5)病院看護師へ転倒転落予防プログラムを用いた教育を予定していたが、第2段階の信頼性の検証および研究結果を踏まえたアセスメントツールの修正までしか進めることができなかった。今回、研究の進度がやや遅れている理由は、簡易であり、かつ入院時に転倒転落のリスクとなりうる程度の認知機能低下をアセスメントするにはどのような方法が良いのかを検討するにあたり、計画していた以上の時間が費やされた。また、本研究者は大学での講義や看護実習指導を担当しながら研究を遂行する状況にあり、初年度としては現実的な計画ではなかったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、6月~7月に簡易転倒・転落リスクアセスメントツール(第2版)の評定者間一致性および利便性を検証する研究の実施を計画している。さらに、転倒転落予防プログラムの作成および病院看護師へ転倒転落予防プログラムを用いた教育を実施する。その後、病院の承諾を得て簡易転倒・転落リスクアセスメントツールを含む転倒転落予防プログラムを導入し、ツールの妥当性(感度、特異度、陽性的中度、陰性的中度、ROC曲線下面積、構成項目と転倒転落の関連)を検証する前向きコホート研究を開始する。 2014年度は、前向きコホートの結果をまとめ、関連学会で公表する。転倒転落予防プログラム導入前後での転倒転落発生率の変化についても調査を行う。簡易転倒・転落リスクアセスメントツールの予測妥当性が良好であることが確認された場合、他施設での転倒転落予防プログラムの導入および予測妥当性研究を行うための準備を行う。予測妥当性が不良であった場合は、再度構成項目の検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(300,000円):パソコン関連用品(SPSS advanced statistics, SPSS baseのアップグレード等)、レーザーカートレッジ、調査紙、ファイル、文具 旅費(300,000円):医療安全関連の学会参加(日本医療安全学会、International Society for Quality in Health Care) 人件費・謝金(400,000円):研究補助人件費、専門的知識の提供(統計解析) その他(26,477円):印刷費、文献取り寄せ
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