2014 Fiscal Year Annual Research Report
既卒採用看護師の職場適応促進策―日本版メンターシッププログラムの構築に向けて―
Project/Area Number |
24792415
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
伊東 美奈子 聖路加国際大学, 看護学部, 助教 (00550708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 看護学 / メンターシップ / 既卒採用看護師 / 職場適応促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内病院で行われている既卒採用看護師向けの受け入れプログラムの実施状況を明らかにするために、質問紙調査を行った。 まず、文献検討の結果をもとに質問紙の作成を行った。質問項目は、プログラムの目的、内容、期間、評価方法、課題等を問う29項目から構成された。全国の病院から層化無作為抽出した1200件に質問紙を配布し、各病院の看護部門長もしくは看護部門教育研修担当者に回答を依頼した。調査実施に際しては、研究者所属の研究倫理審査委員会の承認を受け、倫理的配慮のもとに行った。調査期間は、2014年7月から8月であった。 回収された質問紙は259部(回収率21.6%)で、有効回答部数は259部(有効回答率100%)であった。 分析の結果、4割弱の病院が既卒採用者向けの受け入れプログラムを導入していないことがわかった。導入している病院にプログラムの目的を尋ねたところ、「病院の組織理念・看護の理念を知ってもらう」が最も多く、「組織理念の説明」や「就業規則・職務内容の説明」が多く行われており、新卒看護師に対するプログラムの内容として「技術研修」が最も多く挙げられたのとは対照的であった。既卒の採用・定着での課題・工夫については、「新卒とは異なる扱いにくさがある」「当院への就職意図が不明」等が挙げられ、看護管理者は既卒採用看護師の採用や定着に苦慮しながらも、職場環境を整える等の工夫を行っていた。 既卒採用者向けの受け入れプログラムの実施については、事例報告が散見されるものの、全国的な調査は本調査が初めてと考えられ、既卒採用看護師に特化した職場適応促進策「日本版メンターシッププログラム」の構築に向けた基礎資料とすることができる。また、既卒の看護職の定着や離職に関する研究が少ない中、既卒看護職の採用後の現状について看護界全体で問題意識や課題を共有することは、意義が深いと考える。
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