2012 Fiscal Year Research-status Report
施設入所高齢者に対する尿意の確認に基づいた排尿援助方法の再構築
Project/Area Number |
24792560
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
形上 五月 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40549317)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 排尿誘導法 / 尿意 / 施設高齢者 |
Research Abstract |
研究の目的は、尿意確認に基づく排尿援助方法を確立するために、膀胱機能評価を岩坪ら(2007)の方法に準じて行い対象者を選定し、尿意確認に基づく排尿援助方法を実施することでの尿意や排尿状態への効果を明らかにすること、そして、膀胱機能評価方法を実施することによる高齢者および援助者への心理・身体的負担を明らかにすることである。平成24年度は、膀胱機能評価を高齢者施設で実施するための予備調査を実施した。対象施設の排尿援助方法は約9割の者は排尿誘導が実施され、約7割の者が定時誘導(施設で決められた9時・12時・16時に排尿誘導されること)が実施されていた。尿意の訴えが不明瞭なため失禁を有する認知症高齢者1名に対し、援助者とともに膀胱機能評価を実施した。岩坪らの膀胱機能評価は1時間ごとのパットの確認が高齢者や援助者に負担感があるため実施頻度を考慮する必要があった。今回の調査では、岩坪らの膀胱機能評価を参考に排尿状態の確認は3日間(9時~17時)実施し、1日目は定時誘導の時間に、2・3日目は施設の排尿援助時間ではすでに失禁を認めていたことから、援助時間の1~2時間前(10~11時、14~15時)にも排尿状態を確認する時間を追加し実施した。高齢者の膀胱機能は低下で、排尿間隔は2~4時間であった。評価後の援助者からの聞き取り調査では、定時誘導で入所者の排泄時間が集中し排泄動作の介助に追われているため心理的にも身体的にも余裕がない、排尿日誌に記録はしているがどのように解釈してよいのかわからない、尿量測定は慣れているが残尿測定のための残尿測定器の使用には抵抗があるなどの意見があった。施設での排泄介助は主に介護職が役割を担っているが、排尿状態のアセスメントのためには医学的知識も必要となることから、特にアセスメントでは看護職のサポート体制を強化し、次年度も研究計画を遂行していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱機能評価方法を実施することによる高齢者および援助者への心理・身体的負担を明らかにするために、高齢者施設での予備調査を行った。研究計画を遂行するためには、研究協力者と対象施設で排尿のアセスメントに関して看護職のサポート体制をさらに調整する必要があることが明らかになった。対象施設の選定および研究の看護職のサポート体制の調整、さらに研究協力者は確保できている。研究計画は概ね順調に遂行できており、次年度も研究目的が達成できるようにしたいと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、対象施設で尿意確認に基づく排尿援助方法を実施することでの尿意や排尿状態への効果を明らかにすること。また、膀胱機能評価方法を実施することによる高齢者および援助者への心理・身体的負担を明らかにするために、対象施設のスタッフや研究協力者と協力しながら研究課題を遂行する。対象となる高齢者は認知症を有しており、負担感があってもストレートに表出することが難しいことが予想される。また、援助者も過酷な労働環境の中で勤務していることなどから、研究対象者への倫理的な配慮には十分に注意し研究計画を遂行する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
尿意確認に基づく排尿援助方法決定のためには膀胱機能評価が必要不可欠となる。溢流性尿失禁のような治療を必要とする尿失禁を早期発見するためにも、膀胱内尿量測定は必要となる。当該研究費が生じたのは、現在保有している膀胱内尿量測定器の台数が現在ブラダースキャン1台であったため、機器の追加購入を検討していたためである。対象者が複数いることや対象施設の物理的環境などを考慮すると機器の確保は必要であった。今年度購入予定である長時間尿動態データレコーダー(ゆりりん)は、使用方法が簡便であることやポケットサイズで持ち運べることなどから利便性に優れており、これまで使用したことのない者(研究協力者や対象施設のスタッフ)にも受け入れやすいのではないかと考えている。
|
Research Products
(7 results)