2012 Fiscal Year Research-status Report
地域住民の心身の健康とソーシャル・キャピタルとの関連及び地域支援介入モデルの構築
Project/Area Number |
24792565
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊里 竹彦 琉球大学, 医学部, 助教 (40452958)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ソーシャルキャピタル / 健康関連行動 / 心身健康 |
Research Abstract |
本課題は、地域住民の心身の健康とソーシャルキャピタル(SC)との関連を明らかにし、健康長寿に向けた実践的な地域支援介入プログラムの方策に資することを目的とした。 沖縄県A町在住で20歳以上の住民うち、32行政区ごとに性別、10歳区分で30%無作為抽出した7,425人を対象に、郵送法による自記式質問紙調査を実施し、回収の得られた1,271人(男性583人、女性688人)を分析対象とした。調査内容は、基本属性、主観的健康や朝食、喫煙、飲酒、運動と睡眠などの健康関連行動及びSCの測定には近隣信頼を設問した。分析は、Baronらの媒介モデルの分析手順に従い、独立変数を近隣信頼、従属変数を主観的健康、媒介変数を健康行動、年齢と学歴を調整変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。 近隣信頼と健康行動との関連では、男性は飲酒量(AOR=2.1,95%CI=1.3-3.5)、女性は朝食(AOR=1.8, 95%CI=1.1-3.0)と睡眠(AOR=2.6, 95%CI=1.4-4.8)で近隣信頼と有意な関連を認めた。近隣信頼と主観的健康との関連では、男性(AOR=3.5, 95%CI=2.0-6.0)、女性(AOR=1.9, 95%CI=1.1-3.4)で有意な関連を認めた。直接効果に対する健康行動の影響は、男性では近隣信頼(AOR=3.2, 95%CI=1.8-5.9)と飲酒(AOR=2.0, 95% CI=1.3-3.2)、女性では睡眠(AOR=2.4, 95%CI=1.3-4.4)のみ有意な関連を認め、近隣信頼(AOR=1.7, 95%CI=0.9-3.1)は有意な関連を認めなかった。 近隣信頼が主観的健康に及ぼす影響は健康行動によって媒介され、男性では近隣信頼の直接的な影響と飲酒行動を介した影響、女性では近隣信頼の直接的な影響はなく、睡眠を介してのみ影響することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、地域住民の心身の健康とソーシャルキャピタル(SC)との関連を明らかにするため、沖縄県西原町在住で20歳以上80歳未満の住民24,748人(男性12,495人、女性12,253人)のうち、32行政区ごとに性別、10歳年齢区分で30%の無作為抽出した7,425人(男性3,749人、女性3,676人)を対象に、郵送法による自記式質問紙調査を実施した。男性では近隣信頼の直接的な影響と飲酒行動を介した影響、女性ではSCの直接的な影響はなく、睡眠を介してのみ影響するという結果が得られ、本年度の研究目的であるSCと心身健康との関連が示唆されたという点において目的が達成できたと考える。一方、分析において個人レベルの分析のみを行っており、マルチレベル分析を行っていないという点が今後の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で得られたデータを詳細に検討し、調査結果をもとに対象地区の健康・介護予防政策事業を再評価し、地域住民、行政、社会福祉協議会、民生員および区長と連携・協同しながら健康・介護予防プログラムの再構築を行う。 具体的には、平成24年度「地域住民の心身の健康とソーシャル・キャピタルとの関連及び地域支援介入モデルの構築」の課題点であった分析について、マルチレベル分析にて地域レベルSCの心身健康に対する影響について解析を行う。また、性別、年齢別に詳細に検討し、心身健康のGender・Generation Gapを明確にし、性別や世代によって異なる心身健康問題に対する健康施策を構築する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度「地域住民の心身の健康とソーシャル・キャピタルとの関連及び地域支援介入モデルの構築」で計画した「その他」の「郵送回収費用」として計上した経費より減額することができた。これは、対象地区行政の協力が得られ、郵送・回収方法の工夫が経費の適正使用につながった。また、沖縄県西原町在住で20歳以上80歳未満の住民7,425人(男性3,749人、女性3,676人)を対象に、郵送法による自記式質問紙調査を行なったが、想定していた回収率30%以上を下回り、1,271人(男性583人、女性688人)17.3%の回収率しか得られなかったことが、経費の減額につながったと考える。 平成25年度は、より母集団を反映した結果を導き、対象地区に適切な健康施策の構築に反映させることが可能となるよう、繰り越し経費と併せて追加調査を行いことを計画している。
|
Research Products
(5 results)