2012 Fiscal Year Annual Research Report
腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法の考案
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24800070
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
江玉 睦明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (20632326)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 腓腹筋内側頭 / アキレス腱 / 効果的・選択的ストレッチング / 超音波 |
Research Abstract |
本年度は,腓腹筋内側頭(MG)と外側頭(LG)の筋腹とヒラメ筋(Sol)の付着するアキレス腱(AT)線維束も含めたATの肉眼解剖学的構造を観察・分析し,MGの選択的ストレッチング(ST)方法を考案することを目的とした. 対象は,固定遺体15体25側を用いた. 方法は,各腱線維束の踵骨付着部の配列を観察し,MGの付着するAT線維束が踵骨隆起の外側2/3に付着するものをTypeI,外側1/2に付着するものをTypeII,外側1/3に付着するものをTypeIIIに分類した.次に,下腿三頭筋を後方からデジタルカメラ(Finepix F600EXR,FUJIFILM)で撮影した.そして,画像上にてMGの付着するAT線維束の中央線と,ATの中央線に対するMGの筋束の走行角度(羽状角)を3部位計測し,その平均値を採用した.そして,得られた解剖学的所見から,MGの効果的・選択的ST方法を考案した. 結果は,ATはMG・LG,Solの付着する各腱線維束が互いにねじれながら融合し,ATを頭方から見て右側では左側方向へ,左側では右側方向へのねじれ構造を呈していた.各腱線維束の踵骨付着部の配列は,TypeI(84%),TypeII(16%)に分類でき,TypeIIIは存在しなかった.更にTypeIは,LGとSolの配列の違いからTypeI-a(48%),TypeI-b(36%)に分類できた.また,ねじれの程度に関わらずMGの付着する腱線維束は内側から外側方向へ斜めに走行し,踵骨隆起外側に付着していた.MGの付着するAT線維束の中央線とATの中央線に対するMGの羽状角の比較では,MGの羽状角は,ATの中央線に対する羽状角に比べ,MGの付着するAT線維束の中央線に対する羽状角は有意に小さい値であった. これらの解剖学的所見から,膝関節伸展・足関節背屈に,股関節内旋と足関節内反を加える肢位を考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の計画案では,(1)固定遺体を用いた構造の肉眼解剖学的分析と,3DデジタイザMicroscribe装置を用いた3次元構築,(2)構築されたデータの力学的解析から,腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法の考案,および,(3)考案した方法の超音波装置を用いた検証,の3つを挙げた. 効果的・選択的ストレッチング方法の考案は平成24年度検証できたため,25年度は,(3)考案した方法の超音波装置を用いた検証を行っていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,平成24年度に考案した方法を超音波装置を用いた検証していく予定である. 対象は,神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常成人男性8名を予定している.すでにヘルシンキ宣言の趣旨に則り,かつ本学倫理委員会で承認を受けた(承認番号17384)ている. 方法は,対象者を等速性筋力測定器(BIODEX SYSTEM4,BIODEX社)に着座し,足部をフットプレートに膝関節伸展0°・足関節底屈10°(開始肢位)で固定する.ストレッチング(以下,ST)肢位は,コントロールST肢位(以下,CST)としてCST1:膝関節伸展0°・足関節背屈10°,CST2:股関節内旋15°・膝関節伸展0°・足関節背屈10°・外反10°,考案したST肢位(以下,DST):股関節内旋15°・膝関節伸展0°・足関節背屈10°・内反10°の3肢位とし,ランダムに実施する. 超音波測定は,同一検者が開始肢位とST肢位とで,超音波装置(Prosound C3,日立AROKA株式会社)・Bモード・リニア型プローブ(6MHz)を用いて,STの変化が定常化する30秒以降に各部位を3回測定する.測定部位は,MGとLG(膝窩皮線と外果を結んだ線の近位30%)とする.また,プローブ位置の再現性を高めるため,独自にスポンジ製のプローブ固定枠を作成し,皮膚上で動かないように両面テープで接着する. 解析方法は,画像解析ソフト(Image J,NIH)を用いて,測定した超音波画像から羽状角,筋厚,筋束長=筋厚/sinθ(θ:羽状角)を計測し3回の平均値を採用する.また,検者内信頼性は級内相関係数(ICC;1,1)を用いて確認する.
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Research Products
(10 results)