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2012 Fiscal Year Annual Research Report

ベトナム・ハノイにおける都市民衆の相互扶助に関する人類学的研究

Research Project

Project/Area Number 24820022
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

長坂 康代  京都大学, 文学研究科, 研究員 (00639099)

Project Period (FY) 2012-08-31 – 2014-03-31
Keywords都市人類学 / 経済人類学 / 民衆文化 / 社会主義国 / 相互扶助 / 都市‐村落関係 / 同郷会 / 出稼ぎ労働者
Research Abstract

本研究は、ベトナム社会主義共和国の首都ハノイにおける都市民衆間の相互扶助の生活動態を明らかにすることを目的とする、ベトナム初のストリートの都市人類学的研究である。今年度は、ハンホム通りで、このストリートの都市人類学調査をインテンシブにおこなった。
この調査から、旧市街にある、ハビ村出身者により築かれたハンホム通りは、現在は出身村落に関係なく、塗料販売をおこなっており、そこにあるハビ村の祠堂・集会所「ハビ亭」が、塗料販売店同士のコミュニティの場となり、商業組合としての機能を果たしていることを明らかにした。ハンホム通りの路上茶屋では、「移動者」(出稼ぎの塗料販売員や荷物運搬バイク)がコミュニケーションを図り、ストリートの核となっていることも。今回の調査からより明らかになってきた。
ハノイ都市民衆の社会経済について、平成24年10月、平成25年2月と3月の両月の計3回にわたり、ハノイおよび関連する近隣の母村で、人類学的手法によるフィールドワーク調査(① 同郷会による都市民同士の相互扶助、母村との協力関係、② 塗料販売店での都市民同士、都市民‐出稼ぎ労働者間の相互扶助、③ 市場労働にみる出稼ぎ労働者間の相互扶助の予備調査)を実施した。
これらの調査に基づいて、平成25年1月と3月に、学会報告と研究報告をおこなった。1月の東南アジア学会関東例会では、同郷会の相互扶助と公共性の創出について、3月の雲南懇話会では、ハンホム通りの都市民と村からの出稼ぎ労働者との相互扶助について報告した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度は、現地調査に比重をおいて、①同郷会による都市民同士の相互扶助、母村との協力関係、②塗料販売店での都市民同士、都市民‐出稼ぎ労働者間の相互扶助ついて調査を遂行した。
特に、①については「在ハノイ・ハビ村同郷会」を対象にし、計画通り、同郷会の活動の場である「ハビ亭」を中心とした活動内容の追跡調査、宗教施設への管理を強める行政との関係調査、会員の受け入れ状況や同郷会の役員の対外活動、経済発展に伴う母村との関係の変化に関する追跡調査をおこない、その相互扶助の詳細が明らかになってきた。この昨年度の調査から、ハビ亭の取り壊しと再建に向けた行政の動きがあることも把握した。進捗状況によっては、民衆組織・同郷会の活動にも変化が生じることもありうるので、来年度はその動向にも注目する。
また、②「ハンホム通りの塗料販売店」については、荷物運搬バイクタクシーを依頼する店の特定、荷物の運搬先、バイクタクシーの1日の収入から、都市民衆による出稼ぎ労働者の受け入れ状況や都市民同士の相互扶助の実態が明らかになってきつつある。
これらの調査による社会的事実は、まったく解明されてこなかったものを明らかにしたものである。

Strategy for Future Research Activity

ひきつづき、ハノイ都市民衆の社会経済について、ハノイおよび関連する近隣の母村で、人類学的手法によるフィールドワーク調査を実施する。
今後は、ハノイの卸売市場にて、重点的に調査をおこなう。特に、1)果物販売の同業者間、小売業者、卸会社との取引関係の掛売り、2)市場内で果物運搬者(出稼ぎ労働者)に依頼する店の特定、1日の収入、3)小売店まで果物を運搬するバイクタクシーを依頼する店の特定、荷物の運搬先、1日の収入、バイクタクシーになるための情報網、市場での荷物運搬バイクタクシーの実態、4)出稼ぎ労働者の生活実態と労働者間の相互扶助機能、5)果物の仕入れ圏とその流通ネットワ―ク、についてのフィールドワーク調査を遂行する。
これら一連の調査は、ベトナム初の市の民族誌記述となり、「市の人類学」である。
国内では、研究機関での資料収集や、研究会へ参加して助言を得ながら研究を進め、 こうして得られた結果を基にして、宗教・社会・経済・文化の諸レベルを統合して、学会発表をおこない、最終的に報告書としてまとめて公表する。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] ベトナム・ハノイの都市民衆による互助と協力―ハンホム通り「ハビ亭」をめぐる公共圏の構築について―

    • Author(s)
      長坂康代
    • Organizer
      東南アジア学会関東例会
    • Place of Presentation
      東京外国語大学
  • [Presentation] ベトナム北部の茶と米食文化―首都ハノイを中心として―

    • Author(s)
      長坂康代
    • Organizer
      第24回雲南懇話会
    • Place of Presentation
      JICA研究所国際会議場
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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