2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24830013
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 茨城大学, 人文学部, 准教授 (90634080)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 民事法学 / 面会交流 / 親権停止 / 児童虐待 / 親子 / ドイツ / 配慮権 / 交流権 |
Research Abstract |
平成24年度研究実施計画に従って、①筑波大学など他大学の図書館にて、平成23年の民法改正に関する文献を中心に多くの資料を収集した。また、研究会や学会などに参加し、情報を収集した。これらの資料や情報を踏まえ、新たに導入された親権停止制度の「停止」がどのような概念であるのか、面会交流と親権との法的関係をどのよう捉えるべきか、また親権停止制度がどのように実務において運用されているのかについて調査・検討した。 ②平成25年2月21日から3月8日にかけて、ドイツにおいて資料収集およびインタビュー調査を行った。具体的には、ボン大学中央図書館及び法学部図書館、ドイツ・ヨーロッパ及び国際家族法研究所(ドイツ・ボン)、ドイツ青少年研究所(ドイツ・ミュンヘン)にて資料を収集した。これらの資料を基に、ドイツの1997(平成9)年の親子法改正法の立法段階における議論や、それ以後の親の配慮権の停止と交流権の間の法的性質に関する議論を検討した。 資料収集の他に、ボン大学のニーナ・デトロフ教授、ミュンヘンにあるドイツ青少年研究所のカーリン・ユルチク博士から本研究に関する助言を受けた。 これら研究実施計画に従った研究実績を着実に積み上げると共に、ドイツ青少年研究所のカーリン・ユルチク博士から、ドイツの家族問題に関する専門家を複数紹介いただき、意見交換の機会を得ることができた。また、平成25年度に予定している実務家へのインタビュー調査の準備も大幅に進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、①文献調査、学会や研究会への参加などにより、日本法における親権停止制度に関する考察を進めることができている。また、ドイツ法に関する文献調査も進んでいる。特に、平成25年2・3月に渡独できたことにより、最新の情報を入手することができた。 ②平成25年2・3月の渡独の際に家族法の専門家や家族問題に関する専門家らと意見交換を行うことができ、本研究についても助言を得ることができた。 ③本研究の成果を報告する機会を得るために、研究会などでの報告についてもそれぞれの事務局と現在調整中であり、今夏、遅くとも今秋には報告を行う予定である。 ④当初の計画にはなかったが、ドイツ青少年研究所を訪問したことにより、平成25年度において予定しているドイツの家庭裁判所や少年局へのインタビュー調査についても準備を進めることができた。 これらの研究の進捗状況から判断して、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、①平成24年度の研究をさらに進展させる。当初の計画では予定していなかったが、特に、平成25年度においても、親権停止制度の実務における運用がどのように展開、発展しているかを調査したい。なぜならば、平成24年度の調査によって、親権停止制度が当初の予想とは異なる効果を発揮し始めていることが分かり、今後の動向についても調査継続の必要があるからである。 ②ドイツ法の研究についても、平成25年8月又は9月に、ドイツにおいてインタビュー調査を行うことを計画している。インタビュー調査については、ドイツ家庭裁判所や少年局などを中心に調査を行うことを計画している。なお、文献調査もあわせて行いたい。 また、当初の計画にはなかったけれども、平成25年2・3月の渡独の際に、ドイツ青少年研究所(ドイツ・ミュンヘン)のカーリン・ユルチク博士からの助言に従い、同博士に紹介いただいたドイツ家族法の専門家へのインタビュー調査も行いたい。 ③平成24年度及び25年度における文献研究およびインタビュー調査を本研究の成果をまとめ、申請者が所属する研究会や学会などにおいて報告を行う。 ④平成26年度に、申請者の博士論文の研究も踏まえ、本研究の成果を学術書の形で出版したい。もし、出版社が見つからない場合には、報告書を製本し、大学関係者や学会の関係者などに配布する。
|