2012 Fiscal Year Annual Research Report
高度成長期日本の金型産業分析‐産業発展要因の検証‐
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24830066
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平山 勉 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 助教 (20635221)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 高度成長期 / 機械工業 / 金型製造業 / 精密機械製造業 / 成長要因 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度成長期における金型産業の発展を検証し、その発展要因を解明することである。高度成長期の経済発展を支えた一つの要因としては、産業構造の転換、即ち、当該期の重化学工業化、機械工業化を挙げることができるが、その基礎となる金型製造部門の展開や役割は未だ説明しきれていない。従って、大量生産に絶対不可欠な金型に着目し、i)金型産業の産業史的分析、ii)金型企業の経営史的分析、そしてiii)量産型組立産業部門との比較分析から、高度成長期の金型産業の発展要因とその歴史的な意義を解明する。平成24年度は、これまでに着手した研究を拡充するとともに、比較対象の資料整理・データ構築に重点をおいた。その結果は以下の通りである。1、首都大学東京都市教養学部経営系リサーチペーパーに、「高度成長期後半の金型製造業における外注取引関係の形成 -東京地区プラスチック用金型製造業を事例として-」リサーチペーパーシリーズ125として投稿した。これは1958-1973年の『関東プラスチック組合資料』及び古澤金型工業の「受注取引表」を用いて、金型製造業者の同業者間取引が高度成長期に如何なる変化を遂げたのかを解明したものである。2、高度成長期の金型製造業における市場分析と労使関係に変化についての論文の投稿準備を進めた。25年度上半期に投稿予定となっている。3、東京都、神奈川県公文書館に所蔵される「金型工業」関連資料を収集しデータ化した。4、法政大学大原社会問題研究所のアクセプトを受け、「ペトリカメラ工業」の資料整理とデータ構築を進めた。これにより高度成長期の精密機械工業における成長要因を、同社の経営資料を用いて検証していく基礎を構築した。資料把握・整理は9割方終了しており、今後、包括的なデータ入力に取組む。5、高度成長期の機械工業に関する研究(現状分析、経営分析など)のサーベイを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に目標としていた既存研究の拡充が遂行できた。また、金型製造業に関する資料収集及データ入力作業も順調であるとともに、「精密機械工業」の成長要因検証のための「ペトリカメラ工業」資料のデータ構築に着手している。これまでの成果への加筆修正作業については、2論文が投稿手続きには至っていないが、十分な調査・検証を行うことができたため、25年度に投稿できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度におけるデータ収集・構築及びこれまでの成果の見直しを踏まえ、学会での研究発表及び国内外の学術誌への成果のアウトプットに注力する。 ・6月ごろまでに既存研究拡充の成果を論文として学術誌や紀要等への投稿を行う。 ・7月ごろまでにデータ構築を完了する。 ・研究成果の発表を秋の学会(経営史学会、政治経済学・経済史学会等)行う。 ・10月以降、金型工業および精密機械工業に関する成果を論文にし、学術誌や紀要等への投稿を行う。
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Research Products
(2 results)