2012 Fiscal Year Annual Research Report
米由来新規抗菌ペプチドの細胞内標的分子の精製と同定およびその作用機構の解明
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24860030
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石山 洋平 新潟大学, 産学地域連携推進機構, 研究機関研究員 (50634854)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / タンパク質合成 / 抗生物質 |
Research Abstract |
抗菌ペプチドは、従来の抗生物質に代わる医薬品や機能性食品素材として注目されている。本研究では、第一にタンパク質生合成の各ステップ(転写、翻訳、フォールディング)に対する抗菌ペプチドの影響を定量的に測定するアッセイ手法を確立する。次に抗菌ペプチドのタンパク質生合成の阻害作用を明らかにし、抗菌ペプチドの細胞内標的分子を精製・同定する。 本年度の研究において、大腸菌の無細胞タンパク質合成系(Rapid Translation System)とタンパク質をリフォ-ルデングする反応系を用いて、タンパク質合成、ならびに転写、翻訳、フォールディングへの影響を定量的に評価するアッセイ手法を構築した。次に、細胞内標的分子が明らかな抗生物質であるStreptomycinとFosfomycinを用いて、構築したアッセイ手法の妥当性を確認した後、抗菌ペプチドであるBuforin IIとPyrrhocoricinのタンパク質合成における阻害ステップの解明を試みた。 その結果、StreptomycinとFosfomycinは、従来の報告と同様の阻害様式を示し、本研究で構築したアッセイ手法の妥当性が高いことが示された。次に、抗菌ペプチドBuforin IIと Pyrrhocoricinを本アッセイ手法で評価した結果、従来の報告にある阻害様式に加え、Buforin IIはフォールディングを、Pyrrhocoricinは翻訳をそれぞれ阻害することが新たに判明した。以上のことから、これらの抗菌ペプチドは、複数の分子を標的にする可能性が強く示唆された。引き続き、米由来新規抗菌ペプチドについてもタンパク質合成阻害能を評価するとともに、各抗菌ペプチドの標的分子を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにタンパク質生合成の各ステップ(転写、翻訳、フォールディング)に対する抗菌ペプチドの影響を定量的に測定するアッセイ手法を確立し、2種類の抗生物質と2種類のモデル抗菌ペプチドの評価を行った。現在、確立したアッセイ手法を用いて、米由来抗菌ペプチドのタンパク質合成阻害能について検討しており、概ね当初の研究計画の通り進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
確立したタンパク質生合成の各ステップ(転写、翻訳、フォールディング)に対する抗菌ペプチドの影響を定量的に測定するアッセイ手法を用いて、米由来新規抗菌ペプチドのタンパク質合成阻害能を評価する。その後、当初計画の通り、アフィニティ磁性ナノビーズや飛行時間型質量分析を用いて、各抗菌ペプチドの標的分子の解明を進める。
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Research Products
(1 results)