2012 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の生活習慣要因の疫学的・生理学的検討-新規看護ケア技術の確立に向けて-
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24890053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 美香子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40382957)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 過活動膀胱 / 骨盤底障害 / 女性 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究では、過活動膀胱の症状緩和に対する看護技術を考案するために、1)骨盤底機能やメタボリックシンドロームに関連する複合的な生活習慣要因と過活動膀胱の関係を明らかにした後に、2)生活習慣要因による膀胱壁の虚血及び排尿筋過活動が発生する機序を解明することを目標とする。今年度は、1)骨盤底機能やメタボリックシンドロームに関連する複合的な生活習慣要因と過活動膀胱の関係について検討する一部として、女性を対象に骨盤底機能と過活動膀胱の関係について検討した。過活動膀胱と診断された高齢女性(15名、71.1±5.7歳)と過活動膀胱を有さない女性(12名、64.1±10.9歳)において、経会陰超音波法による恥骨-肛門直腸角距離を指標として骨盤底機能を比較した。過活動膀胱の有無によって体重などの身体特徴に違いはなかったが、過活動膀胱患者では安静時の骨盤底が有意に伸展していた。一方で、骨盤底筋の随意収縮力については両者の間で違いは認められなかった。このことから、女性においては、骨盤底の弛緩が過活動膀胱の発症に関与している可能性があると考えられた。この結果は、過活動膀胱と骨盤底障害の関係を示唆するものであり、骨盤周辺の形態・機能の性差を踏まえて、過活動膀胱の新しい症状管理のアプローチを検討する必要性を示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、過活動膀胱の症状緩和に対し介入可能な看護技術を考案するために、看護師が行える方法での骨盤底の形態・機能評価と過活動膀胱の関係を明らかにする必要があったが、経会陰超音波法での骨盤底評価は泌尿器科では一般的に行われていないことから、骨盤底障害と過活動膀胱の関係を正確に検討できない状況がああり、調査が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者が少ないものの、過活動膀胱と骨盤底障害の関係を示唆する結果が得られたことから、今後は、1)メタボリックシンドロームに関連する複合的な生活習慣要因と過活動膀胱の関係について調査を進めることとする。
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