2012 Fiscal Year Annual Research Report
法医解剖症例における胸腺リンパ体質と突然死の分子メカニズムの解析
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24890282
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
奥平 准之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10635585)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 突然死 / RyR2 / miRNA / 胸腺 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
当研究室では、突然死症例の遺伝子解析を行ってきた。対象遺伝子はCa2+放出シグナルを担うRyR2(ryanodine receptor 2)であり、解剖症例と同じ変異を持った遺伝子組み換えマウスを作製した。本研究では、実際の症例と遺伝子組み換えマウスや培養細胞を用いて、突然死と胸腺リンパ体質の関連性を分子レベルで明らかにする。 これまでに、マウスホモ系統の飼育を行い遺伝子組換え動物の凍結胚の保存を行った。遺伝子組換えマウスでは、精子の活動量が低く、交配に時間がかかった。表現型解析として、胸腺と脾臓の肥大の他に腸管リンパ節もホモマウスで肥大していた。免疫学的解析を行ったが、胸腺リンパ球、脾臓リンパ球、骨髄細胞、リンパ節リンパ球で野生型とホモ型に大きな差異はなかった(用いた抗体:CD4, CD8, CD3, B220, CD69, CD62L, CD44, CD23, CD21, IgM, IgD, CD138, CD25, CD19, CD43)。胸腺リンパ球と脾臓リンパ球を初代培養し、サイトカイン産生の違いを測定した。その結果、脾臓ではインターフェロンγ、IL-2、IL-17を測定したが差異はなく、胸腺でのインターフェロンγにも差異はなかった。 遺伝子レベルの解析では、mRNAおよびmiRNAアレイ解析を行った。mRNAでは、胸腺細胞増殖に関する遺伝子に違いは見られなかったが、カルシウム制御遺伝子は減少の傾向にあった。miRNAでは、胸腺と脾臓でともにmiRNAの1つが減少していた。定量-RT-PCRで結果の再現性を確認した。このmiRNAが胸腺肥大や脾臓に関係している可能性があり、今後解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、ノックイン変異マウスの作成および凍結胚を作成し、新規の不整脈モデルRyR2変異マウスの系統維持に成功した。これまで免疫学的解析は終了し予定通りに推移している。また、今年度中には、ノックインモデルマウスの表現型等を解析したデータを論文発表および法医学会で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、なぜ胸腺、脾臓、リンパ節が肥大したのかmiRNAに着目して実験を行う。すでにマイクロアレイと定量-RT-PCRによる解析から候補miRNAは1つに絞れている。このmiRNAの機能解析をすることでRyR2変異による突然死のメカニズムが明らかになるのではないかと考える。また、カルシウムイメージング解析を予定している。実際のマウスの心筋細胞でカルシウム濃度が野生型と比較しホモ型でどのようになっているのか解析し、不整脈との関連について考察する。
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Research Products
(2 results)