2024 Fiscal Year Research-status Report
日本語教員が「書く」ことの指導に感じる難しさとその教育支援に関する研究
| Project/Area Number |
24K04001
|
| Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 美千子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40372346)
|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪根 由香里 大阪観光大学, 観光学部, 教授 (80327733)
副田 恵理子 藤女子大学, 文学部, 教授 (90433416)
西村 美保 清泉女子大学, 文学部, 教授 (60410875)
|
| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2028-03-31
|
| Keywords | 指導の難しさ / 書くことの指導 / ライティング / 日本語教員養成 / 日本語教員養成課程 / 授業開発 / 第二言語 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の開始にあたって、前年度までの科学研究費補助金基盤研究(B)(課題番号20H01270)で取り組んだ授業開発の成果と課題を総括し、大学の日本語教員養成課程で書くことの指導力を養成する際に比較的多く授業時間数が取れることを前提とした授業開発に関して論考にまとめるとともに(『大学日本語教員養成課程研究協議会論集』22号にて発表)、本研究期間では、次段階として、授業時間数を多く取れない大学でも取り組める教育内容と教育方法を発展的に探究していく方針を立てた。特に課程修了後の進路の一つである日本語学校及び専修学校日本語学科(以下「日本語学校等」)の教員が感じる指導の難しさに着目していくこととした。 次に、日本語学校等教員を対象に書くことの指導の難しさに関する調査を実施した。調査に際しては一定の地域に偏ることなく全国的な把握を目指し、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件」の別表第一に掲載されている教育機関のうちメールアドレスを把握できた663校の日本語教員に回答を依頼し、書くことの指導に関して5件法で尋ねた。2024年度は、指導経験年数の違いに焦点を当てて分析を行い、前年度までの科研費研究で調査した大学日本語教員の傾向と比較した。分析の結果、(1)日本語学校等教員は、大学日本語教員と同じく指導経験年数のどの段階でも「論理的思考」「複眼的思考」「授業外の時間(授業準備・添削)」に難しさを感じていること、(2)大学日本語教員と異なる傾向としては「読み手意識」に難しさを感じていることがわかった(第64回アカデミック・ジャパニーズ・グループ研究会にて発表)。指導の難しさについて日本語学校等教員を対象に調査した研究は他になく、今後の教師教育と教育支援の方向性を考えていく上での示唆を得ることができた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、書くことの指導の難しさに関する調査を日本語学校等教員を対象に実施することができた。加えて、2024年度は初年度であったが、研究発表及び論文発表を行うことができた。また、日本語学校と専修学校日本語学科の双方で教育経験を持つ日本語教員から協力を得て、ここ数年の日本語学校及び専修学校日本語学科を取り巻く教育環境について把握し、本研究の調査結果の考察及び授業開発を進めていく上で考慮すべき点を整理することができた。これらの研究活動を通して次年度以降の研究の基盤を固めることができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
次年度の2025年度は、2024年度に行った調査に関してさらに詳細な分析と考察を進め、大学の日本語教員養成課程での授業開発につなげていくとともに、教員養成と教員研修の内容と方法を具体的に検討していく。授業開発では、日本語学校等教員が難しいと感じる項目を取り上げて研究者間で分担し、日本語教員養成課程での授業試案と教材を作成する。各自が作成した授業試案と教材に関する検討会を発表形式で年3回程度実施し、研究者間での討議を経て改善を図っていく。これをもとに、2026年度前半に大学の日本語教員養成課程で授業試案と教材の検証を行う。2026年度後半から2027年度前半には、教員研修の授業試案と教材について検討する。最終年度の2027年度後半は、研究全体を取りまとめ、総括する。各年度、対面およびオンラインの全体会議を年に複数回開催し、研究者間で相互に連携を図りながら研究を推進していく。
|
| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、次の通りである。第一に、日本語学校等教員が感じる指導の難しさについて検討するにあたって、日本語学校等で活用されている日本語教科書を取り上げた学習会を開催する予定で計画を進めていたが、講師候補者との調整等の関係で2024年度内に実施できなかった。第二に、図書等の購入が年度内に間に合わなかった。第三に、対面での全体会議において開催日時が確定してから研究メンバーに勤務校での重要な校務が生じ、開催地の東京に移動できず、その分の旅費を使用できなくなった。第四に、謝金によるアルバイト作業を効率的に進めた結果、当初の予算額より少ない支出となった。第一及び第二に関しては、次年度以降のなるべく早い時期に遂行する予定である。第三及び第四に関しては、研究に必要となる図書等の購入に使用する計画である。
|