2024 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the molecular mechanism of chiral chromatography from theoretical approaches
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24K21756
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 俊文 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20732043)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 和宣 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (80401529)
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| Project Period (FY) |
2024-06-28 – 2027-03-31
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| Keywords | 分子シミュレーション / 構造ダイナミクス / キラルカラム / キラル分子 / 糖鎖 |
| Outline of Annual Research Achievements |
ある物体とその鏡像を重ね合わせることができない性質をキラリティと呼び、キラリティを持つ分子をキラル分子と呼ぶ。キラリティをもつ医薬品の多くは、一方が薬理作用を示し、もう一方が副作用を示すため、キラル分子をその鏡像異性体と分離することは重要であり、キラリティをもつキラルカラムを利用した分子の分離が盛んに行われている。一方で、キラルカラムが機能する基本原理は理解されていない。本研究では、分子シミュレーションを用いてキラルカラムとキラル分子の分子間相互作用のダイナミクスを明らかにすることで、キラルカラムの動作原理を解明し、分子設計指針を構築することを目的とする。 本研究の開始年度である本年度は、セルロースおよびアミロース誘導体からなるキラルカラムの分子モデルの構築と計算条件の検討を行った。キラルカラムの分子構造については、限られた分子については結晶構造が知られているものの、実際の溶液内では構造は大きく揺らぐことが予想される。これに対して、キラルカラムの構造揺らぎ、特にグルコースの側鎖の向きに関する検討はほとんど行われていない。そこで、複数のコンフォメーションを初期値として分子動力学シミュレーションを実行し、側鎖の配向がどのように変化するかを調べ、実際に様々なコンフォメーションを取りうることを明らかにした。さらに、セルロース誘導体ポリマー同士の相互作用なども検討した。次に、構造異性体を持つ有機分子を用いて、キラルポリマーとの相互作用を調べ、有機分子とキラルポリマーとの相互作用の強さが実験結果の傾向と一致することを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルポリマーの分子モデルを作成し、シミュレーション条件の検討や、構造揺らぎの見積もりを行うことができた。また、構造異性体を持つ有機分子を使って、キラルポリマーと分子の相互作用が構造異性体の間で違うこと、さらにその相互作用の違いは実験的に知られている結合の強さの傾向と一致することを確認することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、キラル分子を用いたシミュレーションを行うことで、キラルカラムとキラル分子の相互作用のダイナミクス解析を行う。特に、分子のキラリティの違いがキラルポリマーとの相互作用にどのように違いを生み出すかを調べる。さらに、実験条件に合わせた混合溶媒を検討し、溶媒(組成)の違いがどのように分子間相互作用、さらにはその先のキラル分子の分離に影響するかを調べる。
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| Causes of Carryover |
研究開始当初は、計算機などの購入を予定していたが、資材の高騰などによる価格上昇のため購入を見送り、計算科学研究センターのスーパーコンピュータを用いて研究を推進した。また、研究打ち合わせも、研究分担者との日程の調整がつかなかったため、予備的な部分だけオンラインで済ませた結果、次年度使用額が生じた。 ただし、研究は順調に進んでおり、次年度の分の予算と合わせて機器の購入などを進める予定である。
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