2013 Fiscal Year Annual Research Report
市民のニーズを反映する制度構築と政策形成の政治経済学
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25220501
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 愛治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40188280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川出 良枝 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10265481)
古城 佳子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30205398)
西澤 由隆 同志社大学, 法学部, 教授 (40218152)
齋藤 純一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60205648)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 世論調査 / 熟議型世論調査 / 討議型世論調査 / ミニ・パブリックス / CASI型世論調査 / Web調査 / 実験室実験 / 政治経済学実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は本研究の初年度であったので、本研究全体の設計のために理論的考察を主に行った。市民のニーズを制度構築と政策形成に反映しうる世論調査としてミニパブリックス(熟議・熟慮を用いる意見聴取法)の基礎となっている現代政治理論の研究を進めた。8月から平成26年1月までに本研究チーム内で熟議民主主義とミニパブリックスに関する研究会を7回開催した。さらに、注目を浴びている現代政治理論の研究者を3名招聘した。6月にメリッサ・ウイリアムズ教授(トロント大学)、10月にジョン・キーン教授(シドニー大学)、平成26年2月に田村哲樹教授(名古屋大学)をお呼びしてセミナーを開催した。 この過程で、平成27~28年度に計画している熟議を行うミニパブリックスと熟慮を促すCASI型世論調査の実施と比較検討をするための熟議・熟慮に適したテーマの検討を行った。その結果、日本における原子力発電の継続か廃止かをテーマとして熟議を行い、熟慮を促すこととした。 この間に、本研究チームのメンバーが従来から行ってきた世論調査も、本年度前半から市民のニーズをいかに反映させるかという視点から検討し直した。まず、平成25年7月の参院選の前後にWeb調査による世論調査を実施した。その後、選挙時を避けて原子力発電の是非を問うWeb型世論調査を平成26年1月~2月に実施する計画であったが、猪瀬東京都知事の突然の辞任により原子力発電存続の是非が最大の争点となった東京都知事選挙が同時期に行われることになったために、厳密な調査が不可能になった。そのために、このWeb型世論調査を平成26年度に延期することとし、その分の予算を次年度に繰り越した。 この延期したWeb調査を平成26年9月から10月にかけて2派のパネル調査の設計で実施した。パネル調査にしたのは、資料などによる刺激の提示により意見が変化するかを測定するためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、規範理論班、政治経済制度班、調査推進班が分かれて活動を開始したが、7月1日に3班合同の研究会を開催し、その後9月、11月に合同研究会を開催した。その過程で、熟議民主主義および討議型世論調査に関する理論研究会7回は3つの班をまたいで開催することとなり、チームの融合が進んだ。平成25年度末には3つの班の区分を取り払い、次年度からは1つのチームとして進むことになった。 上記の過程の中で、熟議民主主義およびミニパブリックス(討議型世論調査や他の形を含む)のあり方について、理論上の理解だけでなく、先行する実証研究の内容も学ぶことができたことは、意義深いものがあり、この点では予想以上の進展が得られたといえる。 さらに、調査対象者に提示して資料を提示し熟議・熟慮を喚起しなくてはならないので、原子力発電の是非に関する資料作りの準備を開始した。早稲田大学の科学技術ジャーナリズム・コースの教員である中村理(原子核・宇宙物理学・科学社会学)の協力を得て、原子力発電に関する客観的な資料作りのための勉強会を始めた。この作業の進展は概ね計画通りである。 その成果を基にWeb調査を全国規模のサンプルを対象に平成26年1月から2月にかけて実施するはずであったが、原子力発電の継続か廃止の是非が最大の争点となった東京都知事選挙とその選挙活動がちょうど同じ時期に実施されることになったため、選挙の影響を避けるためにWeb調査を平成26年度に延期し、予算140万円を次年度に繰り越した。 そのWeb調査を平成26年9~10月に実施したが、その結果は予想に近いものであった。この点だけは計画通りの進捗とはならなかったが、全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、原子力発電に関する客観的な資料を丁寧に作成し、パイロットスタディとして実験室における政治経済学実験を数回行って、より適切な画面のコンテンツを作成して、質問項目の検討をして適切な調査票を作成し、Web調査を実施したい。そのWeb調査のデータを分析し、更に資料提示のモニター画面のコンテンツの精緻化、ならびに質問項目の検討と調査票の改良の糧としたい。 平成26年度は、数回のパイロットスタディとしての実験室実験を行ない、その結果を反映させたWeb調査を全国規模のサンプルを対象に実施するにとどめるが、原子力発電の是非を熟議・熟慮のテーマとすると、どのような資料提示が必要かを検討していきたい。 さらに、平成27年度から28年度にかけて実施する予定のCASI調査とミニパブリックスでは、原子力発電以外のテーマをもう一つ選びたいと考えており、そのテーマ設定を研究分担者の古城佳子を中心に検討する予定である。新たなテーマが決まれば、そのテーマに関する資料作りの勉強会を開き、画面に用意する資料を作成していく必要があると考えている。 なお、平成26年度に繰り越したWeb調査の結果から、原子力問題は調査対象者の態度が固まっており、熟慮のための刺激を与えても意見が変化しないことが示唆されたので、原子力ほどメディアで取り上げられておらず、有権者の態度が固まっていない、新たなテーマを選ぶことの必要性が示唆された。 平成25年度の研究活動の結果に、平成26年度に繰り越したWeb調査結果から得られた示唆を加えて、今後は以下のことが必要な方策になろう。平成26年度は新テーマを選び、そのテーマに関する実験室実験と、全国規模のサンプルのWeb調査を実施して、その結果を活かしたモニター画面のコンテンツを作る必要がある。それらの方策が、平成27年度に実施する計画のCASI調査の画面作成に資すると考えている。
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Research Products
(14 results)