2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25221102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 茂穂 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20344070)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | プロテアソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / 病態 / 転写制御 |
Research Abstract |
1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:最初に、プロテアソームサブユニットのプロモーターのどの領域が転写に重要であるかをmutantの作成により同定し、この領域にluciferaseをつないだコンストラクトを安定発現する細胞を樹立し、ゲノムワイドなsiRNAスクリーニングを実施した。その結果、プロテアソームサブユニットの転写に関与する複数の候補転写因子を得ることができた。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:プロテアソームの20S core particleの形成にTRC経路が、また19S RPの形成にBag6が関与する成果を発表した (Akahane et al. Nat Commun 4: 2234, 2013)。この成果を含んだプロテアソームの分子集合のメカニズムを包括した総説を執筆した(Sahara et al. Adv Biol Regul 54: 51-9, 2013)。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:ゲノム編集の技術を用いて、プロテアソームのサブユニットに蛍光タンパク質を融合させることにより、内在性のプロテアソームの局在を観察可能な細胞株を多数樹立することができた。プロテアソーム機能阻害やレプトマイシンB処理によって、プロテアソームの局在が大きく変動することを見いだしている。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下により細胞内の代謝が脂質合成にシフトすることから、AMPKの制御に着目した。その結果、プロテアソーム機能低下によりAMPKの活性が低下することを明らかにした。また精子ミトコンドリアのユビキチン化をin vitroで再構成する実験系を構築し、精子ミトコンドリアユビキチン化に関わるユビキチンリガーゼの候補を生化学的に同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:予定通りsiRNAスクリーニングが順調に完了した。結果は信頼性の高いものであり、本結果を土台に新しいステップへと進むことができる。また、siRNAスクリーニングとは異なるアプローチとして酵母one-hybridアッセイの系の樹立にも着手した。多方面からの検討により、目標であるプロテアソームサブユニット群の転写因子の同定に向かって着実な進展をしているといえる。 2. プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:プロテアソームの形成機構について、全く新しい発見を論文として出すことができた。本発見はプロテアソーム形成に関してさらに新しい疑問を提唱することとなり、プロテアソームの形成が細胞環境の状況によりいっそう複雑に制御されている可能性を示唆するものであり、その解明に向けて新たな課題を設定して研究を推進していく。 3. プロテアソームの細胞内動態の解析:プロテアソームの動態を制御する因子探索のために必要である、内在性のプロテアソームを可視化できる細胞株を複数樹立し、正しく内在性プロテアソームの挙動を反映していることを確認できた。次年度以降、速やかにゲノムワイドなsiRNAスクリーニング実施可能な態勢を整えることができた。 4. プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下により細胞内に脂質が蓄積することを、プロテアソーム機能低下マウスを用いて観察していたが、その有力なメカニズムとしてAMPKの活性が低下していることを突き止めたことは非常に大きな成果である。また精子ミトコンドリアに対するユビキチンリガーゼの候補を生化学的に複数同定することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:プロテアソーム機能阻害の際にストレス応答性転写因子Nrf1やNrf2がサブユニット群の転写を促進することが知られるが、平常状態での責任転写因子は全く知られていない。この因子の同定を目指す。 2. プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:上述の成果をさらに発展させるために、TRC経路によって膜に埋め込まれるtail-anchoredタンパク質がどのようにプロテアソームの形成に働いているかを、出芽酵母遺伝学および哺乳類培養細胞でのsiRNAの実験系によって評価する方法を開発し、責任tail-anchoredタンパク質の同定を目指す。 3. プロテアソームの細胞内動態の解析:樹立した細胞株を用いてゲノムワイドなsiRNAスクリーニングを実施し、プロテアソームの細胞内動態に影響を及ぼす因子を同定する。 4. プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:申請者らのこれまでの解析とプロテアソーム機能低下マウスの解析から、プロテアソームがミトコンドリア機能、代謝へ関わることを示す結果を得ている。この分子メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Quantitative live-cell imaging reveals spatio-temporal dynamics and cytoplasmic assembly of the 26S proteasome.2014
Author(s)
Pack CG, Yukii H, Toh-e A, Kudo T, Tsuchiya H, Kaiho A, Sakata E, Murata S, Yokosawa H, Sako Y, Baumeister W, Tanaka K, Saeki Y.
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 5
Pages: 3396
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Defective immune responses in mice lacking LUBAC-mediated linear ubiquitination in B cells.2013
Author(s)
Sasaki Y, Sano S, Nakahara M, Murata S, Kometani K, Aiba Y, Sakamoto S, Watanabe Y, Tanaka K, Kurosaki T, Iwai K.
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Journal Title
EMBO J
Volume: 32
Pages: 2463-2476
DOI
Peer Reviewed
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